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みんなみすべくきたすべく

ベルト・モリゾ

       355印象夕陽j
(2012倫敦巴里47)
(承前)
 ブローニュの森とラヌラグ公園の間にある元邸宅のパリ マルモッタン モネ 美術館は、モネの「印象 日の出」が展示されているので有名です。印象派という言葉の元になったのが、この「印象 日の出」です。あんなに大所帯の印象派集団をその両肩に背負うほどの大きさではなく、思いのほか、こじんまりとした絵で、いわば、普通のおうちの客間にぴったりの大きさの絵です。

 もちろん、モネの他の作品もたくさんあるのですが、同じ印象派の女流画家ベルト・モリゾの作品に眼を留めだすと、その光満ち溢れ、愛情満ち溢れる母親の視線に心惹かれてしまいました。大作と位置づけられないかもしれない、それらの母子像をみているだけで、穏やかな気持ちになれました。

 コロ―に師事していた、ベルト・モリゾが、ルーブルでルーベンスの摸写をしているとき、通りかかったのがモデルを探していたエドワール・マネ。で、モリゾは、「バルコン」「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」等のモデルをし、自らも絵筆を取り続けました。結局、マネの弟と結婚し、37歳でジュリーという女の子をもうけます。ところが、54歳で急逝。死を覚悟した二日目に書いた手紙が
「私の可愛いジュリー。私は死んでいく今もあなたを愛しています。死んだあとでもなお、あなたを愛することでしょう。どうぞお願いだから泣かないでおくれ。この別れは避けがたいものです。私はあなたが結婚するまで生きていたかった・・・いつもあなたがそうだったように、仕事をしていい子でいてください。あなたはこれまで私を悲しませたことは一度もありませんでした。あなたは美しく財産もあります。それを有効にお使いなさい。・・・・」*

 ベルト・モリゾがどうしても描き残したかった世界。子どもにとって早世だった母親は、描き急いだのかもしれません。(続く)

◎ 図書カード名画シリーズの3000円券に、ベルト・モリゾを見ることができます。マネ「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」です。ちなみに、偶然か、意図的なのか、1000円券は、モリゾの家系につながると言われるフラゴナールの「読書する娘」です。

*「マラルメの火曜会 ―世紀末パリの芸術家たち」の「ベルト・モリゾ」の章:柏倉康夫 丸善

☆写真は、スイス レマン湖 印象夕日

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ワッツ?

                    350ワッツj
(2012倫敦巴里44)
 ロンドン ナショナルポートレートギャラリーで、特に数多く展示されているのがワッツ(George Frederic Watts 1817-1904)の作品です。ワッツは「希望」という作品で有名ですが、肖像画の仕事も多いようです。そういえば、先日の神戸のバーン=ジョーンズ展で、バーン=ジョーンズの肖像画が一枚展示されていましたが、それは、まさに、ワッツが描いたものでした。
 ところで、ロンドン ハイドパークに隣接するケンジントン・ガーデンズの中にあって、朝の散歩で出会う 写真の像、人の手足、馬の顔、足等、力強く、ただものじゃないなと思っていたら、なんと!ワッツの作品でした。
 
「おーい、どこ見てるの?」と、思わず、聞いてみたくなります。タイトルは、≪Physical Energy ≫ ロイヤルアルバートホール前で鎮座するアルバート公、そのずずっと後ろに控えし者にござる。

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ナショナルポートレートギャラリー

                   349サージェントj
 (2012倫敦巴里43)
 ロンドン ナショナルギャラリーに隣接するのが、ナショナルポートレートギャラリーです。ここは、肖像画や顔写真等を展示しています。今回は、ロンドン オリンピック・パラリンピック後だったこともあって、選手やスタッフの写真がたくさん展示されていました。どれも、いいお顔の写真でした。また、ここには、歴代の王さまの肖像画はもちろん、ジョン・レノンやベッカムの写真も展示しています。

 若い頃、肖像画には、あまり興味がなかったので、ナショナルポートレートギャラリーに足を運ぶことは、ありませんでした。しかしながら、以前受講していた「ブリティッシュアート論」でジョン・シンガー・サージェント(John Singer Sargent)の肖像画の素描を見て、一瞬でその人物の内面までも捉えるかのような画家の眼力に感心して以来、肖像画も面白いものだと思うようになりました。
 ちなみに、サージェントは、ロンドン、テートギャラリーにある「カーネーション・リリー・リリー・ローズ」も描きました。このブログ管理者カ・リ・リ・ロの名前は、おこがましくも、そこから来ていて、それは「ふくろ小路一番地」*の影響です。

*「ふくろ小路一番地」(イーヴ・ガーネット作 絵 石井桃子訳 岩波少年文庫)

☆写真は、右端がナショナルポートレートギャラリーのパンフレットの表紙(パラリンピックカヌーの選手)
中央上:2006年ロンドン ナショナルギャラリーで見た「パリのアメリカ人展」の『マダムX』(ゴートロー夫人)のポストカード、当時、パリでスキャンダルになった若き人妻の肖像画です。(アメリカ メトロポリタン蔵)中央下:ロンドン テートギャラリーの「カーネーション・リリー・リリー・ローズ」のポストカード
左は、サージェント肖像画素描集SARGENT PORTRAIT DRAWINGS 42Works by John Singer Sargentのゴートロー夫人の素描(アメリカ ハーバード フォッグ美術館蔵)

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A Cup of Water and a Rose on a Silver Plate

              346スルバランj
(2012倫敦巴里42)
(承前)
 ロンドン ナショナルギャラリーには、好きな絵がたくさんあります。その一枚が、スペインの画家、スルバランの「A Cup of Water and a Rose on a Silver Plate」です。この美術館の中では、かなり小さな絵です。静かに鑑賞者を待っている。そんな絵です。

 この絵を知ったのは、「英国 オックスフォードで 学ぶということ―今もなお時が豊かに積もる街」というエッセイを読んでからです。この本は、画家である著者がオックスフォードで学ぶと言う至福の時を過ごした経験が、書いてあります。そして、「A Cup of Water and a Rose on a Silver Plate」のこと。
 ≪・・・階段を上がって正面のホールから左の部屋へと続く扉をあけると、顔見知りの懐かしい絵が次々と現れる。ああ、この絵も、あの絵もここにあったのか。古い友人に出会ったような、安堵する気持ちがする。まず、全体をざっと眺めようと、足早に次々と部屋を横切り、三室目か四室目に入ると、右手正面の壁にかかっている小さな絵が強烈な力で私を惹きつけた。こんなところにスルバランがある! 
 それは、本当に、両の手でそっとささげられるほどの小さな絵で、白いテーブルに白っぽい皿、水の半分ほど入ったコップ、ほんのりと薄いピンク色のばら、そして壁は漆黒。薄いピンク色の他は、いっさいが無彩色の静謐な絵である。絵の脇に小さく「ナショナル・ギャラリーにごく最近所蔵された」と記してあった。・・・・≫
 
 この箇所を読んで以来、いつも、ロンドン ナショナル・ギャラリーに行けば、会いに行く絵ですが、一度、どこかに貸し出されていた年がありました。約束していた友人と行き違ったまま、会えなかったような気持ちでした。

*「英国 オックスフォードで 学ぶということ―今もなお時が豊かに積もる街」(小川百合 講談社)

☆写真は、「英国 オックスフォードで 学ぶということ―今もなお時が豊かに積もる街」の見返しに著者が描いたオックスフォードの地図の上に「A Cup of Water and a Rose on a Sliver Plate」のポストカードを置きました。光沢紙のポストカードに、そばのステンドグラスの影が写っています。

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ロンドン ナショナルギャラリー

                         344ナショナルGj
(2012倫敦巴里41)
 ロンドン ナショナルギャラリーも、大きいことは大きいのですが、個人的にはルーブルよりこじんまりと(!!!)している分、見やすい気がします。絵画以外は、ヴィクトリア&アルバートや、大英博物館にもあるということもあって、絵画以外の所蔵も多いルーブルより所蔵が少なくて(!!!)見やすい。ルーブルは、屋根付き中庭もあるし、廊下で繋がれているし、なにより、階段の上下がある。ところが、ロンドン ナショナルギャラリーは、簡単にいえば、大きな平屋と言った風情なので、平行移動しやすい。(所蔵作品のほとんどが同じフロア―にあります)ただ、これからロンドン ナショナルギャラリーに行かれる人のために一言付け加えると、ルーブルよりこじんまり(!!!)としているとはいえ、かなりのものです。一回ですべては、見切れません。

 何より、ロンドン ナショナルギャラリーに親しみ(ありがたみ)を感じるのは、入場無料だということ!そこがまた、身近な美術館として、敷居が低く、「好きな作品を好きな時に」という空気になって、ゆったり作品を楽しめるのではないかと思うのです。有料のルーブルの凄い人出の半分くらいは、なんかガツガツしているような気がするのは、思い過ごし?
 
 とはいえ、ロンドン ナショナルギャラリーも、寄付金箱は出入り口に置いてあって、特別展の西棟セインズベリーウィングでの特別展は、もちろん有料。そして、特別展は、混みあうとき、予約制です。予約さえすれば、ゆったり鑑賞できます。2001年「フェルメールとデルフト派展」、2006年「パリのアメリカ人展」、それぞれ、眼福の時間でした。・・・・と、検索確認していたら、見つけてしまった!2013年6月26日~9月8日「フェルメールと音楽展 Vermeer and Music: The Art of Love and Leisure」が、ロンドン ナショナルギャラリーで開催されてしまう。あの絵とあの絵が来るのなら、もう見たことがあると、あきらめましょう。が、しかし、あれも来るんだろうなぁ・・・・フェルメールは手紙がらみの作品もあるけど、さらに多いのは楽器の前、楽器を弾くシーンが多い・・・ふーむ。(続く)

☆写真上、ロンドン ナショナルギャラリー(撮影:&Co.T)、下は、パリ ルーブル美術館中庭。
       
345ルーブル中庭j

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ロイヤルアカデミー・オブ・アーツ (RA)

            343RAj.jpg
(2012倫敦巴里40)
 ロンドンの中心、某有名紅茶店の向かいにあるのが、ロイヤルアカデミー オブ アーツ(RA)です。
 ここの美術館の展覧会は、小さいながらも充実していて、紅茶を買いに行くついでに、いつも寄ります。
 今回はクラークさんご夫婦所蔵の印象派展でした。(ちなみに、クラーク美術館改修に伴う世界巡回展で、来年は日本にも来るようですよ*)このご夫妻の収集した数々を見ると、時代がもう少し前のジャックマール=アンドレご夫婦と重なります。もし、時代が同じなら、この二組の夫婦は、市場でぶつかったことでしょう。
 片や、印象派等を集めたアメリカ人、片や、イタリアルネッサンス等を集めたフランス人。そういえば、日本の若冲をたくさん持っているのは、アメリカのプライスさんご夫婦でしたね。みなさん、美術収集がご趣味のお金持ちご夫婦!

☆写真:以下、すべてRAで開催された美術展。
左上と右上は、2005年のマチスのテキスタイル展≪Matisse,His Art and His Textiles ―― The Fabric of Dreams≫のカタログとパンフレット。これは、面白い視点の展示でした。マチスが描いた絵と、絵の中に描かれた意匠(服地、カーテン、壁紙など)を比べていました。この写真に写るカタログ内絵画背景(左と)パンフレット表紙(右)とも、日本の染めのように見えるでしょう?
左下は、2012年のクラーク美術館所蔵の印象派展パンフレット。
中央上は、2001年のマチス展≪Ingres to Matisse≫のパンフレット。
中央右、2008年エルミタージュ展**≪from Russi≫のマチス「ダンス」のポストカード
中央下、黒い画面に銀器と緑の豆の絵は、2004年のウィリアム・ニコルソン展図録表紙。(The Art of William Nicholson)このときは、RAに行けなかったので、取り寄せました。イギリスの画家ウィリアム・ニコルソンは絵本「かしこいビル」「ふたごのかいぞく」「ビロードうさぎ」や商業ポスターも手掛けました。

*「奇跡のクラーク・コレクション」
東京三菱一号館美術館(2013年2月9日~5月26日)
兵庫県立美術館(2013年6月8日~9月1日)

**RAのエルミタージュ展と内容は違いますが、京都市立美術館に「大エルミタージュ美術館展」来ています。(~2012年12月6日)RAに来ていた、マチスの「赤い部屋」あります。「ダンス」は来ていません。

***「かしこいビル」(ウィリアム・ニコルソン 吉田新一・松岡享子 ペンギン社)
***「ふたごのかいぞく」(ウィリアム・ニコルソン 谷川俊太郎 ブッキング)
***「ビロードうさぎ」(マージェリー・ウィリアムズ 石井桃子訳 ウィリアム・ニコルソン絵 童話館)

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ドラクロア美術館

             338ドラクロアj
(2012倫敦巴里39)
(承前)
 パリのドラクロア美術館は、ギュスターブ・モロー美術館と同じように、個人の美術館ですが、作品が溢れかえっているわけではありません。多分、このフランスの国民的画家ドラクロア(1798~1863)の大作は、ルーブルなどにあるのでしょう。この元住居には、デッサンやもう少し小さい作品がありました。ユーロになる前のフラン紙幣に、彼の「民衆を導く自由の女神」という絵が描かれていたのを見たことがあります。ルーブルにある有名なこの絵は、1830年のフランス7月革命を描いたもので、いわゆる自由の女神とされる女性が、倒れている人を踏み越えて、フランス国旗を掲げ進んでいく絵です。高校世界史の教科書に出ていたと思います。それに、何年か前、日本で、展示された時、記念切手になっていました。ごくごく最近では、日本の某保険会社の広告にパロディ化されて使われていました。

 ドラクロアは「民衆を導く自由の女神」等の大作のイメージが先行していましたが、この美術館では、時代を反映していない作品に、その魅力を見出しました。特に、ルーブルにある「甘える虎」という作品のデッサンや、飼い猫のデッサンなど、確かな眼を持つ画家の作品を、ゆっくりと鑑賞できました。それで、素養のない鑑賞者として、一番、ときめいた作品は、彼の若い頃の自画像でした。うーん、なかなか男前。

 ゾラは、「制作」の中でセザンヌと思えるクロードにこんなことを言わせています。
≪・・・ドラクロアは、老いたりといえ、堂々たるロマン派のライオンだ。色調を燃え上がらせるまさしく魔術師だ!それにあのエネルギー!もし、彼に自由にやらせたら、パリ中の壁を塗りつぶしかねないぜ。奴のパレットは沸騰し、あふれている。彼の描くのは、幻影風景だとは、おれももちろん承知しているが、なあに、それも仕方ないことだ。とにかくおれをぞくぞくさせるし・・・・・≫
*「制作」(エミール・ゾラ 清水正和訳 岩波文庫)

☆写真上下:パリ サン・ジェルマン・デ・プレ界隈をちょっと入った、見過ごしそうな場所に、このドラクロア美術館はありました。(撮影:&Co.H)

339ドラ2jj

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モローの貴婦人と一角獣

                        336モローj
(2012倫敦巴里38)
(承前)
 クリュニーの「貴婦人と一角獣」タペストリーは15世紀末に作られ、その後、所在不明となり1841年にお城で発見され、1882年に元修道院のクリュニーで公開されました。(発見者がまた凄い!小説家であり官吏であった「カルメン」「エトルリアの壺」*の著者メリメ。)それで、その頃、パリの話題となり、それに触発され描かれたのが、写真のギュスターブ・モロー「貴婦人と一角獣」なのです。(1885)。

 モローは、パリの美術学校エコール・デ・ボザールで教鞭をとり、マチスやルオーにも影響を与えます。先に書いたゾラの小説「制作」にも、モローの影響が見えます。

 一つの作品、一人の芸術家が成し得た仕事が、後世 誰かに何かの影響を与え、つながって行く。それが、たとえ、小さく描かれた花であっても。また、異国の子どもが楽しむ絵本にまでも。芸術の奥の深さは、「きり」がありません。

 そんなモロー自身は、ドラクロアの影響を受けたといいます。(続く)

*「カルメン」(メリメ 堀口大學訳 新潮文庫)(杉 捷夫訳 岩波文庫)
*「エトルリアの壺―他五編」(メリメ 杉 捷夫訳 岩波文庫)

☆写真上は、ギュスターブ・モロー美術館の「貴婦人と一角獣」。この写真では、うまく写っていませんが、本物は、やさしい雰囲気の伝わる作品でした。下は、クリュニー中世美術館の外壁にあった日時計。左上に1674年と書いてあります。

◎速報!来年2013年に、クリュニー中世美術館の「貴婦人と一角獣」のタペストリー6枚!が日本に来ます!これは、かなり凄いことなのです。海外貸出は、1974年にただ一度、アメリカメトロポリタンだけだからです。東京、国立新美術館4月24日~7月15日。大阪、国立国際美術館7月27日~10月20日。(情報提供&Co.I)

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貴婦人と一角獣

                 334中世美術館j
(2012倫敦巴里36)(承前)
  パリ、カルチェラタンの雑踏、すぐそばにありながら、クリュニー中世美術館に一歩足を踏み入れると、パリの喧騒から程遠い静かな世界に入ります。ここは、ローマ時代からの遺跡も残る元修道院だった場所です。  さらに、歩を進め、薄暗い円形の部屋に入ると、ああ、「貴婦人と一角獣」のタペストリーが・・・
333貴婦人と一角獣j
 「貴婦人と一角獣」のタペストリーは全部で6枚あります。
 「味覚」という題の一枚は、貴婦人が侍女の差し出すドラジェ(砂糖菓子)をつまもうとしています。また貴婦人の足元では、猿が、すでに何か食べています。
 「聴覚」という題の一枚は、貴婦人が小さなオルガンを弾いて、侍女は、ふいごを押して手伝っています。
 「視覚」という一枚は、貴婦人が手鏡を持ち、その鏡には一角獣が映っています。そばにいるライオンの視線は、貴婦人や一角獣の方ではなく、彼方のようにも見えます。
 「嗅覚」という一枚は、貴婦人が侍女のお盆から花をとり花輪を作っています。後ろで、猿は花の匂いを嗅いでいます。
 「触覚」という一枚は、貴婦人が片手で旗を持ち、片手で一角獣の角に触れています。猿は鎖でつながれています。

 以上の5枚が並んで展示され、その向かい側、5枚のタペストリーと向き合うように、掲載した写真のタペストリーが一枚掛けられています。
 これには、貴婦人の後ろのテントに「我が唯一の望みに」と書かれ、貴婦人は、身につけていたネックレスを外し、自ら宝石類を侍女の持つ箱に入れようとしています。(反対に、これから身につけようとしている?)
 このタペストリーの解釈には、様々な説があるらしく、例えば、五感から来る情熱や欲求から離れ、判断力や理解力など人間の分別というものを表現しているという解釈、あるいは、これから結婚あるいは、宗教的な生活に入るという解釈など・・・

 いずれにしても、その謎めいた意匠もさることながら、6枚、どの一枚にも、小さな花々が描かれ、小さな動物たちが集っています。このように、タペストリーの平面を生かし、花々や小動物が描かれることを千花模様(せんかもよう ミル・フルール)といい、その愛らしい世界を見るだけでも楽しいものです。ほら、他にも見たことあるでしょう?(続く)

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貴婦人のクッション

         331クッションj
(2012倫敦巴里35)
(承前 10月22日)
 「制作」の訳者清水正和先生ご専門の19世紀文学とその関連芸術の講義に至るまでには、まず、ヨーロッパの古い芸術やその歴史の流れについての講義があり、ブルターニュ カルナックの巨石文化から、イタリア ラヴェンナのモザイク、シャルトルの大聖堂の薔薇窓などの話もされました。。

 そして、たまたま、その夏、パリから南仏、そしてイタリアに行こうとしていた大学生だった長男に、先生の書かれたヨーロッパ芸術地図を見せました。特に、ラベンナは素晴らしいところだと先生から直接お聞きしていたので、ここだけは外さないように!と注文をつけ、未習に終わった、セザンヌのエクサンプロバンス、ニースのマチス美術館、シャガール美術館等もチョイスして彼は旅立ったのでした。(いいなぁ)

 さて、先生の数少なかった実際の講義で、お聞きしていたのは、パリ「クリュニー中世美術館の貴婦人と一角獣」のこと。講義で聞きかじったことを長男に伝え、お土産を頼み、結果、買って来てくれたのが、現在も愛用するクッションカバーでした。(続く)
332クリュニー駅j
☆写真上は、クリュニー中世美術館のポストカードとクッション。下は、パリ メトロ クリュニー駅 天井

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