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石井桃子についての本三冊、その後(1の3の2)

こいしかわのねこ
(承前)
 さて、 「100まんびきのねこ」は、文もさることながら、その横長の絵本は、延々と続く道を表現するのにぴったりだし、白と黒の画面も、いろんな色の猫を思い浮かべるのにぴったりです。また、、「100まんびきのねこ」に続く「へんなどうつぶ」「すにっぴいとすなっぴい」「すんだことはすんだこと」「しらゆきひめとと七人の小人たち」などを見ていると、素朴なタッチが親しみやすく楽しいだけでなく、その黒色に込められた力強さも見えてきます。
 
 ところで、過日、とある人気画家の展覧会に行った時、その素描が、あまり達者なものではないと、少々がっかりしたのですが、家計を助ける意味もあって、14歳の頃から、自作の絵やお話と挿絵を出版社に送り、その結果を楽しみにしていたワンダ・ガアグのそれは、子どもの頃の作品も、「若き日の痛みと輝き」巻頭にある、たくさんの作品も、魅力的でした。

 芸術の才能があっても、いろんな流れから、当初思い描いていた芸術一本で生きて行きにくい世の中で暮らすことになったとき、どう折り合いをつけて行くのか。ワンダ・ガアグは、23歳頃の日記「若き日の痛みと輝き」に≪ああ、神様、一生、一生、つらい思いをしてもかまいませんから、小手先でうまい絵の描けるさし絵画家で止まるようなことはさせないでください。≫と記し、若き日の葛藤を記しています。

 一見、戯画のようなタッチのガアグの絵ですが、実は、深いところで削がれた結果であり、ガアグに限らず、古典となって、支持されていく絵本たちの画家は、しっかり基礎を積み重ねた画家たちなのだと思います。(続く)

*「若き日の痛みと輝き」(ワンダ・ガアグ 阿部公子訳 こぐま社)
*「100まんびきのねこ」(ワンダ・ガアグ 石井桃子訳 福音館)
*「へんなどうつぶ」(ワンダ・ガアグ 渡辺茂男訳 岩波)
*「すにっぴぃとすなっぴぃ」(ワンダ・ガアグ 渡辺茂男 岩波)
*「スニッピーとスナッピー」(ワンダ・ガアグ さくまゆみこ訳 あすなろ書房)
*「すんだことはすんだこと」(ワンダ・ガアグ 佐々木マキ訳 福音館)
*「しらゆきひめと七人の小人たち」(ワンダ・ガアグ再話 絵 内田 莉莎子訳 福音館)

☆写真は、東京小石川植物園を歩くねこ。

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