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みんなみすべくきたすべく

長編部門 続き

          スモークツリーj
(承前)
 「ジェルミニィ・ラセルトゥウ」は、ゴンクウル兄弟(1822‐1896,1830‐1870)が、二人で原稿を突き合わせ推敲、どちらがどう書いたかという違いもわからないとされる作品です。

 先に書いたように、フランス19世紀の下層の女性、薄倖の女性が、落ちて行く過程、その心理状況を描いた作品でしたが、読むうち、段々、同世紀の日本の下層の女性たち、すなわち、江戸期の花街などなどが、浮かんでいました。

 国は違えど、あるいは、その風俗に違いはあれど、女性たちが落ちて行く状況は、万国共通で、特に時代も同じ頃とあっては、その共通点を見いだせるものかなと考えていました。また、的外れな発想かもしれませんが、「歌麿」や「北斎」という研究・刊行をしたゴンクウルであれば、まったく、日本の江戸期のイメージがなかったとも言えないのではないかと・・・
 少なくとも、私には、フランス19世紀に生きていたジェルミニィと、華やかに描かれてはいるものの、その裏で、悲惨な人生であったと思われる同時期の女性が浮かんだのです。

 弟は早世し、兄のエドモンド・ゴンクールは、ゴンクールの名を冠したゴンクール文学賞を設立。その賞は、フランスで今もまだ続く、権威ある賞となっています。

 さて、気も早く、2014年で読んだ本の中で一番面白いのを書いてみたわけですが、どの3冊も、新しい本ではありませでした。一番新しくて1945年の「動物農場」。「ジェルミニィ・ラセルトゥウ」も1865年で、文庫版が2014年4月刊だといっても、短編集「愛書狂」は、19世紀の作品集でした。

*「ジェルミニィ・ラセルトゥウ」(ゴンクウル兄弟作 大西克和訳 岩波文庫)
☆写真上は、京都祇園 もとお茶屋さんお玄関に置かれたスモークツリー。下は、東京三菱一号館美術館中庭のスモークツリー。
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