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石井桃子についての本三冊 (その3)

アメリカデイゴj
(承前)
 「石井桃子のことば」(新潮社)のなかで、「書棚から」という石井桃子氏の書棚にあった読みこなされた本4冊を紹介する箇所があります。3冊までは、様子がわかったのですが、あと一冊「ウィラ・キャザー」の本については、浅学も甚だしく、知りませんした。

≪・・・ウィラ・キャザーの『ア・ロスト・レイディ』という本をみつけた。私に、しずかな美しさを感じさせた。・・・≫そして読後、幼い頃の読書以来の忘我の境地を味わい、自分の波長とぴったり合うものを感じ、≪ある人にとっては無上の価値となるものが、ある者には三文のねうちもない。そして、その価値は、手にとって、説明できないことが多い≫という、人間の価値観の問題が描かれていたのだそう。
 ふーん、そうなんだ。ウィラ・キャザーを読んでみよう。と思っていたら、 「こどもとしょかん」東京子ども図書館の2014年春141号に、石井桃子とウィラ・キャザー読書会(キャザー会)の一人、キャザー「マイ・アントニーア」(みすず書房)の訳者でもある佐藤宏子が『石井桃子先生とアメリカ文学―「キャザー会」ノートから見えるもの』という文を寄せていました。.
 
 そこには、1958年に「20世紀英米文学案内」と言う叢書の企画(研究社)があって、その「キャザー」の編者を石井桃子が担当することになったので、この勉強会が発足したと考えられるとあります。

 インターネットの検索もない時代、石井桃子の探究の基本姿勢の表れであるノートの一端が紹介されているのですが、それが凄い。メモに次ぐメモ、そして調べ、深める、調べる、深める。これは、「20世紀英米文学案内 キャザー」の「人と生涯」という大部の執筆に繋がったものだとわかるのですが、この研究姿勢は「キャザー」のみならず、翻訳の仕事全般に通じていくものであったと思われます。どこかの実験ノートのような、軽いメモではなく、中身の濃い覚書。
 かつては、多かれ少なかれ、石井桃子のようにいかずとも、調べたことは、雲の上に保存してもらうようなこともなく、ひたすら手書きで、ノートに書き込んでいましたね。
 
(「石井桃子についての本三冊の続きで読んだ本3冊 (その1)」に続く)

*「石井桃子のことば」(中川李枝子 松居直 松岡享子 若菜晃子ほか 新潮社)
*「こどもとしょかん」(2014年春141号 東京子ども図書館発行)
*「マイ・アントニーア」(ウィラ・キャザー 佐藤宏子訳 みすず書房)
*「20世紀英米文学案内 12.キャザー」(石井桃子編  福原麟太郎 西川正身 監修 研究社)

☆写真は、雨上がりのアメリカデイゴ

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