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ドゥーリトル先生のお話

           チープサイドj
 「ドリトル先生シリーズ」 (ヒュー・ロフティング 井伏鱒二訳  岩波)は、誕生日やクリスマスや、お小遣いを貯めてや、いろんなことをして、揃えていった記憶があります。動物語を話せる人・・・いるかもしれない、いや、きっといる!と思うのが、このシリーズの最大の魅力でした。それに、次々、起きる事件も、さもありなん、と、いつもわくわくしながら読んだものです。

 ところが、小説「黒い雨」の作者とドリトル先生の翻訳者が同じ人だと知るのは、ずいぶん後のことでした。
 また、翻訳の妙に気づくのはもっと後で、子どもの頃は、オシツオサレツを筆頭とする仲間たちのネーミングの新鮮さに夢中になったものです。さらに、大人になって、雀のチープサイドという名前が、ロンドンに実在する地名Cheapsideだと知るのは楽しいことでした。

 「プーと私」(石井桃子著 河出書房新社)の中の「井伏さんとドリトル先生」という文に、「石井桃子集7」 (岩波)に既載ながら、ドリトル先生翻訳秘話が書かれています。ドリトル先生シリーズと井伏鱒二、そして表には出ない存在とはいうものの、大きな風を吹き込んだ石井桃子。

 ドリトル先生の話を井伏鱒二に語った石井桃子の熱意が、井伏鱒二の心意気とつながり、当時、戦争中にもかかわらず、 「ドリトル先生アフリカ行き」は翻訳刊行され、戦後は12巻まで刊行されていくのです。

≪さて、私は、こうして友だちから送られた「ドゥーリトル先生のお話」をたいへんおもしろく思い、次に井伏さんをお訪ねすると、早速その粗筋をお話した。  井伏さんは、目をパチパチさせながら、その話を聞き終え、「いい話ですね。いい話ですね。日本の子ども話って、糞リアリズムで厭味だ。こういうふうにいかないんだなぁ。」とおっしゃった。≫(続く)

☆写真は、セントポール近くに住むロンドン雀チープサイドの子孫。オーストラリアに移住し、メルボルン雀となっていました。(撮影:&Co.A)

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