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みんなみすべくきたすべく

子どもの本でちょっとお散歩(川 その6)

13屋久島j
 「川はながれる」 
(アン ランド文 掛川 恭子訳 フョードル・ロジャンコフスキー絵 岩波書店)
 最初に「川はどんなふうに、どこにながれていくのか しりたいと思っている 子どもたちみんなに」と、書かれています。原題はThe Little River
 遠い北の森で、雪がとけ、氷がとけて小さな川が生まれるところから始まります。
初めは、くねくね きらきら 青いヘビのようにはいまわり、森の動物たちを喜ばせます。そして、元気いっぱい流れはじめ「どこに行けばいいんだろう」「川はどこかにむかって、ながれていくものなんだ。でも、それがどこだか わからない」
・・・・で、いろんなところに流れていきいろんな動物や人に出会い、挫折したり、楽しかったり、迷ったりしながらも、「一人前の川なら、海を見つけなくてはならない」と、理解します。
 ところが、実際に海にでても、新米の川は、まだ、悩みます。「あんなに いっぱい水がある。ぼくは いったい どうなってしまうのだろう」  でも、カモメの言葉で、やっと自分がわかるのでした。
 そうなのです。「川はどんなふうに、どこにながれていくのか しりたいと思っている 子どもたちみんなに」という最初の言葉は、「川」と言う言葉を「人生」とか「生きる」という言葉にも置きかえられるのです。この本を読んだ子どもたちは、そんなこと決して置き替えたりしません。川の流れが知りたいのですから、きれいな絵を見て、川の流れを楽しみます。動物たちが集まってるよ。へぇ、川も迷ったりするんだ。こんなところに流れていくんだ。そうか、おもしろそうだなぁ・・・
 シンプルな言葉で、きれいな絵*で、人生を語る1冊に出会える喜びは、絵本の大きな愉しみです。難解な言葉だけが、重要ではないと思います。平易な言葉の中にある大切なもの。子ども心を失わず、しかも、経験を積み、大人の姿勢を持つ大人によって生み出された優れた絵本や児童文学は、本当に奥が深い。
 子育てをするといいながら、絵本をたくさん読み、楽しんできたのは母親の私でした。絵本の中で教えてもらった数々のこと。それなのに、ちっとも成長しなかった母親でした。
 「ちいさい川にも やっとわかった、これまで旅してきたところ どこにでも、自分が居るということが―――」
 そうですね、これまで生きてきたところ、どこにでも自分が居るのです。一瞬一瞬、自分が居たのですね。これからも。

*翻訳されて岩波子どもの本として出版されているものより、原書はもう少し大判で、自然の流れのおおらかさが伝わり、紙質からも印刷からも、温かいものが感じられます。
☆写真は、屋久島(撮影:&Co.A)

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