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こねこのぴっち(その2)

ぴっちとマックスj
(承前)
  「こねこのぴっちの」の中で特に好きな絵は、ぴっちがおんどりに負けないくらい大きな声で「こけこっこう!」とやってみるシーンです。(写真下部)

 それで今、小型本と大型本を、比べてみると、余白の分量こそ違いますが、ぴっちとおんどりの大きさは、ほとんど変わりません(ほんの少し小型本が小さい)。
 そして、小型本のページを開くと、ぴっちとおんどりが、右方向を向き、縦伸びしている絵で、左には縦書き日本文字があります。一枚の絵として、バランスがとてもいいのです。
 一方、大型本では、左のページでぴっちがおんどりのマネをしながら歩いてきて、右ページで「こけこっこう!」となるので、物語の流れがスムーズにわかります。
 つまり、一つのシーンとしてみたら、小型本もなかなかよいものの、それまでのページは、進行方向を右から左にしているので、元のままの右向きの「こけこっこう!」の絵は、流れと反対なのです。
 この点からも、物語の流れを文と絵で表現する絵本としては、やはり大型本の方が無理がないと言えます。
 
 フィッシャーは、「画家の絵について」という講演でいいます。
≪芸術が本物で、生きたものであるためには、技術だけではとうてい足りません。それがほんとうの体験から出たものであり、同時に感動から生み出されたものでなくてはなりません。・・・≫
また、こうも言います。
≪・・・ニワトリやフクロウ、ネコ、ロバなどにわたしが愛着をもち、親しさを感じるのはなぜなのか、わたしにはわかりません。おそらく彼らとのあいだに、心の動きか、心の近しさが作用しているのでしょう。・・・≫
(「ハンス・フィッシャー 世界でもっとも美しい教科書」収録ハンス・フィッシャー講演録1957年より 真壁伍郎訳)
 「こねこのぴっち」他、フィッシャーの絵本に溢れている動物たちへの近しい思いが、本当の体験・感動から生まれたものだったのがよくわかります。

 大型本ののびやかな本の造りは、小型本と並べると際立つのですが、表紙のぴっちの可愛く いたいけな表情は、小型本に軍配があがります。同じぴっちの絵を使っているのに、背景の優しい色のせいでしょうか。まわりが、すっきりしているせいでしょうか。はたまた、個人的な思い出のせいでしょうか。???

 そして、この可愛いぴっちは、作者自身も魅了し、フィッシャー自身が、小型の「岩波の子どもの本」を手に入れていた話(沼辺信一氏ブログ「わたしたちは二十世紀に生まれた」)には、なんだか、ほっとします。

☆写真:数ある絵本のシーンで好きなのはどこかと問われたら、この2シーンを、外せません。このぴっちとマックスの表情。口も手も指も足までも!
 意外と、こんなに発散し切っている子ども(子猫)の絵というのは少ないものです。が、あります。明日に。
上: 「かいじゅうたちのいるところ」 (センダック作 神宮輝夫訳 冨山房)
下: 「こねこのぴっち」 (フィッシャー作 石井桃子訳 岩波)

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