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アルニカ

       アルニカj
 スイスの貧しい子どもたちがイタリアの煙突掃除婦に売られていた時代の話「黒い兄弟」 (リサ・テツナー作 酒寄進一訳 福武書店)の中に、こんなシーンがあります。
≪ジョルジュのお母さんの目の前の蛇を息子のジョルジュが鎌で射止めると、お母さんは気を失ってしまいます。そのとき、ジョルジュは急いで「アルニカ」の葉を摘んでくると、その葉をよくもんでお母さんに嗅がせます。すると、お母さんはすぐに気が付き、二・三度額の汗をぬぐってジョルジュに軽くうなずくと、なにごともなかったように再び草刈りを始めるのです。≫

 そう、この「アルニカ」。
 エルンスト・クライドルフの「アルプスの花物語」 (矢川澄子訳 ほるぷ)に、アルニカ姉さんが、バッタたちの治療をしている絵があります。クライドルフの凄いところは、絵自体の力量もさることながら、その花の生態を踏まえて、絵にしているところです。水辺に生えるものは、水辺のお話、岩場に生えるものは岩場のお話などなど、ですが、ここでもアルニカに備わる薬効を踏まえて絵にしているのです。バッタさんは、アルニカの薬効を知っていて、頼っているのですね。手前の治療済みのバッタさんたちのくつろいでいること。

 実は、この前のページには、トリカブトらの花が描かれ、さながら兜をかぶった軍人たちが丘の上からバッタの兵士たちを見るという、戦争の気配が感じられる一枚です。軍人たちが有毒なトリカブトだということ、次のページが、傷ついたバッタたちを癒すアルニカであること。クライドルフの深い思いを感じます。

 で、写真右に写るのは、スイスのスーパーのレジ近くで、最後の小銭処理のために買ったアルニカクリーム。筋肉疲労などに擦りこむなどとありました。(多分)
 予想通り、菊っぽい匂いです。

*テツナーの「黒い兄弟」は、一時期「ロミオの青い空」というアニメで放送されていたらしいですね。

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