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エリザベス女王のお針子 2

      スパンコールj

(「エリザベス女王のお針子1」から続き)
(承前)
 さて、ウォルター・ローリーは実際にオシャレな人だったようです。
 それは、著者覚え書きに≪1617年反逆罪で処刑された。そのときの服装は、サテンの胴着、刺繍をほどこした黒のチョッキ、黒くて光沢のあるタフタの半ズボン(トランクホース)、色つきの絹のタイツ、刺繍入りの帽子・・・そして、黒のベルベットのマント。≫とあります。おしゃれー!黒でまとめるところはシックだし、この場合意味もある。豪華な刺繍が映えるのは、黒だし、黒でも、光る素材、薄い素材、しなやかでたっぷりした素材等、なかなかのセンス。

 ウォルター・ローリー、件のマントのデザインのアイディアは、メアリーのこんな発案でした。
「宮廷に行くころはまだ寒いから、雪の結晶の模様を銀糸で刺繍してもいいんじゃない?胸の赤いコマドリが枝にとまっている図や、赤い実をつけたヒイラギの小枝なんかの冬らしい図柄もいいわよね?で、それぞれの図柄のまわりは、金色のアラベスク模様と銀色のスパンコールで作る渦巻き模様で囲むの。スパンコールは光を受けて、氷みたいにキラキラ光って見えるはずよ。」

 そして、メアリーは、様々な困難に出会いながらも、仕事を進めていきます。
≪・・・メアリーが刺繍したヒイラギの枝に小粒の真珠を縫いつけると、不思議なことに、白い真珠が赤いヒイラギの実のように見えてくる。秋、庭で焚き火をすると、枯れ葉がパチパチとはぜ、樹液が燃える、つんとするにおいがしたものだ。あのときの音やにおいが、今よみがえってくる。     休みなく手を動かして、メアリーはたくさんの貴重な思い出を、ローリーのマントに刺繍していく。少なくともそうしているあいだ、メアリーは幸せに包まれていた。≫

 刺繍をするのを生きがいにするお針子メアリー。それを着こなすウォルター。女王の目に留まらないはずありません。そして、女王自身も、少女の頃、刺繍をしていたと語るのです。

≪姉のメアリーと余は、フランス人アンリ・シャルルから裁縫を学んだ。切りぬき刺繍、ひも細工、ひだ飾りにゴブラン織り、世界各国のさまざまなステッチもな。毎朝、刺繍糸と有名な図案集を脇に置いて、刺繍台にむかったものだ。・・・・幸せな時代であった。今も、刺繍台の前にすわると、そのころが思いだされ、心が休まる・・・≫
(「エリザベス女王と寵臣ウォルター・ローリー」に続く)

☆写真は、スパンコール刺繍作業途中(撮影:&Co.H)

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