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みんなみすべくきたすべく

シャルロット姫

シャルロットj
 (「薤露行(かいろこう)」から続き)
(承前)
 「薤露行(かいろこう)」には、3人の女性が登場します。アーサー王夫人のギネヴィア、
昨日書いたエレーン姫、そして、シャルロット姫。

 キャメロット城に続く流れに浮かぶ小島の塔に、幽閉されたシャルロット姫。鏡を通してのみ外界を知ることができ、毎日、織物を織っていましたが、ある日、退屈し・・・という絵が、右上のウォーターハウスの絵。向こうには鏡があって、外界を写しています。

 ある日、ランスロットの歌声に惹かれ、鏡ではなく、実際に身を乗り出して外の世界を覗いてしまいます。すると、シャルロットは呪われ、織物や糸は散乱しシャルロット姫に巻きつき鏡はひびが入ってしまう。・・・・という絵が、左上のウォーターハウスの絵で、「夏目漱石の美術世界展」に来ていました。また、左下の挿絵は、テニスン詩集の挿絵でホルマン・ハントが描いています。

 それで、塔を下り、小舟を見つけキャメロット城に悲しげな瞳で向かうシャルロット姫の絵が右下のウォーターハウスの絵。

 鏡が割れるところは、アガサ・クリスティにも、「鏡は横にひび割れて」(橋本福夫訳 ハヤカワミステリ文庫)のイメージ源泉ともなっていますが、漱石は、「薤露行(かいろこう)」の中で、鏡がひび割れる箇所をこう表現しました。

≪・・・ぴちりと音がして皓々たる鏡は忽ち真二つに割れる。割れたる面は再びぴちぴちと氷を砕くが如く粉微塵になって室の中に飛ぶ。七巻八巻(ななまきやまき)織りかけたる布帛(きぬ)はふつふつと切れて風なきに鉄片と共に舞い上がる。虹の糸、緑の糸、黄の糸、紫の糸はほつれ、千切れ、解け、もつれて土蜘蛛(つちぐも)の張る網の如くにシャルロットの女の顔に、手に、袖に、長き髪毛(かみげ)にまつわる。・・・・≫
(「幻影の盾」に続く)

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