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みんなみすべくきたすべく

あたしはどうすることもできないんですといわんばかり

                       ミロj
 先日、ルーブル美術館の職員が、暴力的なすり犯らに耐えかねてストライキに入り、一日休館というニュースが流れていました。
 昨年、パリに行ったときも、スリに気をつける準備をして出かけましたが、浮かれた観光客を狙うだけでなく、ルーブルの職員までが嫌な思いをしているのは、どうよ。周りに注意を払わず、リラックスして鑑賞する美術館として、安全な状態での鑑賞は当然のこと。

 さて、突然ですが、今回のストライキのニュースを知ったら、ハイネは、どう思ったでしょう。
 物語(ロマンツェ)詩集と名付けられたハイネの詩集「ロマンツェロ―」の後書きには、こんなことが書かれています。
≪1848年の5月、私が最後に外出した日のことであった。ようやっと私は足をひきずりひきずりルーブルに行った。そして、世にもありがたい美の女神、わが愛するミロの女が臺座の上に立っているあの大廣間に入るや、私は殆ど身もくずれんばかりだった。私は長いことこの女のもとに身を横たえ、石も哭けとばかり、さめざめと泣いた。すると女神もあわれを催し、私を見下したが、だが同時にまたかの女はかの女で、自分には腕がないんですもの、あたしはどうすることもできないんですといわんばかり、情けなさそうな様子だった。≫

「ロマンツェロ― (全二冊)」(ハイネ 井汲越次訳 岩波文庫)

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