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みんなみすべくきたすべく

軟膏と鉄

   480美山町雪jj
   「カレワラ フィンランド叙事詩 (上)(下)」 (リョンロット編 小泉保訳 岩波文庫)
(「カレワラの国」から続き)
(承前)
 「カレワラ」は、神話に近い伝承物ですから、つじつまの合わないようなところもありますが、そこは、この壮大な世界を楽しむのに、さほど支障にならないと思います。それに、科学とは程遠そうな物語、軟膏や包帯の呪文、疫病の起源、等など、実は、科学的根拠と繋がっていて、とても面白いです。

 例えば、殺菌・抗菌効果のある蜂蜜を、傷に塗る軟膏として手に入れた経緯は、こうです。
≪   軽快な者、蜜蜂は、再び軽く飛び立った 九つの海を越え、十番目の海半ば。    一日飛び、二日飛び、なお三日目も飛んだ、足で座ることもなく、葉に休むこともなく、海原の島へ、蜜の陣地へと、凄まじい急流(ながれ)の傍らへ、聖なる川の渦巻きへ。    そこで蜜が煮たてられ、塗り薬が作られた 親指くらいの大きさの、指先が入るほどの、小さな素焼きの壺の中で、綺麗な鍋の中で。    軽快な者、蜜蜂は、この軟膏を手に入れた。  ≫

 また、鉄の起源は、とても興味深く、「カレワラ」の最初の方で出てくるのは、それ以降、作り出されるものの「元」となるからです。特に、鉄が「武器」としての「力」を持つところは、納得してしまいます。

 鉄は、燃え立つ炎の中で、この苦痛から出してくれ、人を傷つけることはしないから、と誓いをたてます。鉄を鋼(はがね)として固める水に灰汁を用意するも、何か足りない。そこで蜜蜂に水に入れる蜂蜜を運ぶよういいます。
 ところが、邪悪なスズメバチが、水の中に入れたのは、
≪・・・羽音をたてて飛んで、ヒーシ(*スズメバチ)の恐怖を投げつけ、蛇の毒を運んだ、蛇の黒い毒液を、蟻の痒い(かゆい)汁を、蛙の秘密の苦汁を 鋼を作る液の中へ 鉄を固める水の中へ。≫
 ≪・・・・そこで、鋼は悪くなり、鉄(くろがね)は怒りを発した、哀れな鉄は誓いを破り、犬のように名誉をさげすみ、哀れな兄弟に切りつけた、その身内を口にくわえ、血をば流させた、血潮を迸らせた。≫(「北の魔女 ロウヒ」に続く)

☆写真は、京都府 美山町(撮影:&Co.A)

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