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王子と乞食 2

            474セントポールj3
「王子と乞食」
 
(マーク・トウェイン作 大久保博訳 F.T.メリル J.J.ハーリ L.S.イプスン絵 角川書店)
(「王子と乞食 1」から続き)
(承前)
 岩波文庫の「王子と乞食」の挿絵が、ロバート・ローソンでよかったものの、絵が少ないような気がします。

 ところが、角川書店 大久保博訳の「王子と乞食」は、初版(1882年)予約本の時の挿絵を、ふんだんに掲載しています。何故にこんなに多いのか。それは、当時のアメリカの出版事情を訳者あとがきから、知らなければなりません。
≪…今日のように、現物を書店に置くのではなく、注文取りが挿絵入りの内容見本を持って一般家庭を一軒一軒まわりながら、予約注文を取り、その注文に応じて出版社が必要な部数を印刷し、出版するのです。挿絵があるかないか、その挿絵がすぐれたものであるか否かで、注文の数に大きな差が出ます。ですから、トウェインは挿絵の利用にはずいぶんと気を遣い、多額の経費を自分で負担してまで立派な挿絵を収録しようとしました。≫

そうかぁ!だからかぁ。

 また、あとがきには、こうも書かれています。≪トウェインは、挿絵に描かれた登場人物の服装や、室内装飾、建築物、背景などの出来栄えを見て感心し、特にこの物語の舞台となっているチューダー王朝の正確な描写にことのほか満足しました。≫

 訳者は、初版本を所蔵し、新訳・完全版だと胸を張ります。
 確かに、絵を見るだけでお話がわかるくらい、たくさんの挿絵がついてます。それに各章の小見出しの素敵な事。
 装丁や挿絵だけ見ていると、アメリカの本ではなく、「王子と乞食」の舞台、イギリスの本のように思えます。

☆写真は、ロンドン、チープサイド付近の通りからセント・ポール寺院を見る。この辺りは、「王子と乞食」のトム・カンティの生活圏だったところ。(撮影:&Co.H)

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