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マスク

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 コロナ禍の日々、昨年は、ペストなど、何篇かの疫病関連の小説を読みました。➡➡  ➡➡  ➡➡  ➡➡ ➡➡  ➡➡ その後、日本の作品で読んで見たのが、志賀直哉の「流行感冒」➡➡。今回は、菊池寛の「マスク―-スペイン風邪をめぐる小説集」(文春文庫)を読みました。こちらも、志賀直哉の「流行感冒」と同じく、今まで読んだ西欧の感染症関連小説に比べ、小説内での感染症の位置づけが少々異なる。

 確かに、感染症の人は登場するのですが、話の本質として、感染症が扱われているとは限りません。つまり、感染症で亡くなる人、重篤になる人、周りの人などなど、登場するものの、設定が感染症でなくとも、話が成り立ちそうです。
 また、いわゆる時代物、例えば、幕末の下田が舞台の「船医の立場」では、当時の感染症はスペイン風邪ではなく、コレラだったはずだし【この点に関しては、後日書く予定の「江戸のコレラ騒動」(角川ソフィア文庫)参考】、「島原心中」の症状は、スペイン風邪ではないようです。また、「忠直御行状記」「仇討禁止令」等には、心の病や苦しみが書かれていても、感染症患者が登場するわけではありません。
 したがって、時流にのって、急遽出版されたと思う(2020年12月初版)この「マスク――スペイン風邪をめぐる小説集」という副題は、ちょっと無理があるような気がします。が、こうやって、手に入れて読む者もいるのだから、文春文庫としては成功です。そして、これは、文芸春秋創業者である、作家 菊池寛、 実業家でもあった彼の意向にも沿っているといえるかもしれません。
 
 とはいえ、菊池寛の作品は、この短編集しか読んでいませんが、読みやすく、どれも、一気に読める面白いものでした。これは、純文学作家でありながらジャーナリストとして資質が、読者の好奇心をくすぐる伝え方を知っているとも考えられます。

 今や、日本文学界の話題の中心のような芥川賞と直木賞、これは、文芸春秋社が大きく関与。当初は、菊池寛の友人であった芥川龍之介や早世した直木三十五の追悼も兼ねた賞であったようです。創刊時の文芸春秋誌は、安価で若い人たち向けの雑誌でもあったようで、しかも巻頭連載を飾っていたのが当時、すでに評価を得ていた芥川龍之介の「侏儒の言葉」。売り切れ御免だったようですから、ここでも、菊池寛のビジネスセンスが見えてきます。

☆写真は、昨年、マスク不足の頃、娘が手作りしてくれたマスク・・・ですが、もったいなくて使えません。

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