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藪の中

おはなしみたい (3)j

(承前)
 今昔物語の「妻を具して丹波の国に行く男、大江山にて縛られたる物語   具妻行丹波国男 於大江山被縛語」(29-23)等を下敷きにしているのが、芥川龍之介の「藪の中」です。

 山の中で、盗人に襲われた夫婦の事件 を、目撃者や当事者たち(霊媒師を使ってまでも)が検非違使(裁判官)に向かっ て一人ずつ証言していく形式 です。…で、最後まで 真相は、「藪の中」なのです。

 この証言者が次々入れ替わり語る形、いわゆる法廷劇、今でこそ各種メディアなどで、よく使われる技法だと思います。が、芥川の時代(1922年 大正11年)には、かなり斬新だったに違いありません。今読んでも、その臨場感が、すごい。
 もちろん、もとになった今昔物語では、こんな書き方でなく、盗人が、夫の目の前で、その妻を襲うという話なのですが、この形式になった途端、真相が「藪の中」になるのです。

 今昔物語では、はっきりと盗人が悪人でという位置づけです。夫婦の位置づけは、当時としては少々微妙かもしれませんが、芥川の「藪の中」を読むと、いや、待てよ、一体だれが悪いん???と、読者心理も「藪の中」。

 だから、タイトルが「藪の中」というのが、一番、すごいかも…久しぶりに、短編にドキドキ。(続く)

☆写真上は、中央、小さくキビタキがいます。写真下、キビタキ。

  きびたきj

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