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みんなみすべくきたすべく

むかしの鳴き声

スイス2015 (1)j

(承前)
  『うしは どこでも 「モー!」』(エレン・スラスキー・ワインスティーン 作  ケネス・アンダーソン 絵  桂かい枝 訳 すずき出版)➡➡にあるように、世界共通の牛さんの「モォー」は、日本では、昔から「モォー」と鳴いていたのか?

 この疑問には、「いまは昔 むかしは今 全5巻」(網野善彦・大西廣・佐竹昭宏 福音館)第3巻「鳥獣戯語」に、答えがありました。

≪牝牛はウンメと鳴き、牡牛はウンモと鳴くなる≫(醒睡笑)*1623年成立の笑い話集1039話
・・・・ま、やっぱり、牛は、モゥーかな?

牛ではなく、猿の事は、「今も昔も進化しない猿」と書かれ、
≪キヤキヤキヤキヤ≫(狂言「猿聟」)
≪キヤアキヤアキヤア≫(狂言「柿山伏」)と、しています。

そして、鼠は、チューチューでなく、「ジイジイ」
≪「あら都恋しや、ジイジイ」「姫まつ恋しや、若まつ恋しや、ジイジイ」「都よりの花男見んとて、ジジメキ、寄りこぞり給ひけり」(慶応大学本『弥兵衛鼠』)
≪ジジといへば聞き耳たつる猫殿の眼のうちの光恐ろし≫(渋川板御伽草子『猫の草子』)

さて、犬は?「わんわん」といわず、古くは、英語のよう。
≪べうべうたる野城、ことに興をもよほして覚え候≫(チェスター・ビーティ本『十二類絵巻』 15世紀)
≪ただべうべうと打つ波の音/鼓にも犬の皮をやかけぬらん≫(鷹筑波)*1642年刊の俳諧撰集
≪世間ノ人ハ犬ノ如ニシテ、ヒヤツヒヤツト吠テ≫(東福寺『四河入海』)1534年成立の抄物

他にも鴉、鷲、猫、梟、雉なども出ていますが、
ちょっと勉強になったのは狐。
≪コウコウとはちぎりながら其日はみえず≫(チェスター・ビーティ本・旧堂本本『十二類絵巻』 15世紀)
≪夜ならばコムコム(コウコウ)とこそ鳴くべきに あさまに走る昼狐かな≫(大山寺本・十行古活字本『曽我物語』江戸時代)
・・・・コウコウというのは、来う 来う(擬声語のコウコウの掛言葉)。

 上記チェスター・ビーティ本・旧堂本本『十二類絵巻』では、「コウコウ(来う 来う)」と約束しながら、狐が、その日は来なかったという箇所があります。ずるがしこく、約束を破る狐の性質までも当時から読み取っていたのが面白い。(『鹿まつところの狸』に続く)

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