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みんなみすべくきたすべく

疱瘡神=赤=猩々

酒呑童子j

(承前)
 「酒呑童子」の伝説は、各地であり、また、伊吹山系と考えるもの、大江山系と考えるもの、やはり、古いものは、深い。
 江戸時代の死因の第一は、致死率が高かった疱瘡(天然痘)だったとありますので、姫たちが神隠しにあったのも、それを隔離と考えたりするのも不思議はありません。また、瘢痕(一般的にあばたと言われる)が厳しいものだったので、それも、鬼の疫病であり、赤ということと関係づけたともいえるのでしょう。

「定本 酒呑童子の誕生 もうひとつの日本文化」(高橋昌明 岩波現代文庫)には、
≪近世の医療やまじないの世界では、疱瘡の脅威にたいし、疫霊(疱瘡神)として、猿に似た想像上の怪獣である猩々(しょうじょう)の人形(ひとがた)を作って祭り、燈明や赤紙を口につけた酒徳利、小豆飯や赤鰯をそなえ、三日後この人形を門前から川辺に運び出して流す、という呪儀が行われていた。赤面の猩々以下、すべてが「赤」で統一されているのは、疱瘡が身体を赤く変えることと関係し、疱瘡神の色が「赤」と考えられていたことを示す。・・・・(中略)・・・・疱瘡神=赤=猩々という連想は、中世まで遡るだろう。『大江山絵詞』で、正体を現した酒呑童子の姿が、見事な朱紅色に描かれ、名前の由来自ら「我は是、酒をふかく、愛するものなり、されば、眷属などには、酒呑童子と、異名に、よびつけられ侍也」と語っているのも、猩々(疱瘡神)のイメージが宿された結果とみたい。≫とありました。

 ともかくも、このコロナ禍、いえ、ウィルスとの闘いが昔も今も、そして、未来も続くなか、昔の知恵から学ぶことはないのかと、謙虚に考えないといけないと思います。この「定本」の後書きは2020年に書かれ、実際のコロナ禍の中での新版だったようで、本文とは違う迫力で記されていたのが、印象的でした。(続く)
 
☆写真は、伊吹山系「酒呑童子絵巻」狩野元信(室町後期)≪源頼光一行が、鬼の首を切ったら、その生首が頼光の頭に。ところが、頼光は神兜をかぶっていたので大丈夫。≫「大絵巻展」)図録(京都国立博物館2006)

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