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定本 酒呑童子の誕生

酒呑童子jj
(承前)
 ベンジャミン・フランクリンと酒呑童子がどうつながるか?ベンジャミン・フランクリンが息子が天然痘で亡くなったことを記していた➡➡ことと、酒呑童子が、天然痘の化身であるという説が、つながっている(と、勝手に解釈して書いています)。

「定本 酒呑童子の誕生 もうひとつの日本文化」(高橋昌明 岩波現代文庫)
 酒呑童子は、大江山に住む赤い形相の、おかっぱ頭の童子に変貌している鬼です。その赤い顔というのが、かつて日本でも世界でも猛威を振るった天然痘の症状ではないか。そこからこの伝説は、生まれたのではないかというのが、この「定本」の説です。
 
  このご時世ですから、なるほどと思い読みましたが、多くの章は論文を基本としているので、素人には、少々読みにくい部分もありますが、読んでいるうちに、この発見に夢中になっている一人の学者が見えました。これは、秋に読んでいた「古代の朱」(松田壽男 ちくま学芸文庫)➡➡を読んだときにも感じたことでした。こちらは、かなり現場主義でしたが、お二人とも、自信に基づいた主張を展開されています。そして、学問上の発見に、強気になっている学者さん。その説が、なかなか受け容れてもらえない場面もあるもどかしさが、二冊の本の端々にあり、それが、また読み手には面白かったです。お互い一括りで比べるのは、心外だということでしょうが、ま、学問に王道なしという気概が両者に感じられました。きっと、学問は、こういうパッションから、進化するのだと思います。

 で、この本のおかけで、酒呑童子の話には、伊吹山系(滋賀県東部)と大江山系(京都府西北部)があることをしりましたし、酒呑童子の生い立ちやその後の悪行。いずれにしても、混沌とした時代(いつの世でもそうですが・・・)の鬼退治のお話にしては、実在の人物たちの活躍の背景も無関係ではない。で、この定本のように、天然痘…赤くなる・・・酒が好き・・・赤くなる・・・鬼みたいに暴れる・・・山の奥・・・隔離された(神隠し)・・・・などとつながると考えるのも納得するものがあります。 (続く)

☆写真は、伊吹山系(サントリー美術館蔵)「酒呑童子絵巻」(室町後期) 狩野元信筆≪源頼光の一行が酒呑童子を酒に酔わせた寝床の図。写っていませんが、右には、(神隠しにあったとされる)女(姫)たちの手引きで、一行が忍び込もうとしている画≫が描かれています。「大絵巻展図録」(京都国立博物館 2006年)

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