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川ネズミ

ヒキガエル4
(承前)「たのしい川べ」(ケネス・グレーアム文 石井桃子訳 E・H・シェパード絵 岩波)
 
 「たのしい川べ」の原題は、The Wind in The Willows (柳に吹く風)で、先日のロックの写真➡➡にも、ヘンリー・オン・テムズ➡➡の写真にも、ヤナギ(Willows)が、写っています。
 また、邦題の「たのしい川べ」には「ヒキガエルの冒険」と副題がついています。実は、川ネズミが主人公のはずだし、また、モグラやアナグマはいい味出しているものの、悪童そのもののヒキガエル、圧倒的に強烈な動きを見せています。

 とはいえ、今年の干支ネズミに敬意を表して、川ネズミが完全に主人公である章「旅びとたち」のこと。
 詩人の川ネズミは川を愛し、川を離れませんが、ある日出会った海ネズミに聞いた冒険話に引き込まれ、誘惑され、心は川を離れ広い世界に向かいます。
 海ネズミはいろんな国に出かけた話を語り、最後に、川ネズミをこう誘います。
≪だからね、若いきょうだい、きみもきたまえ。時は待っていないし、南の国は、きみをよんでいるんだ。二度と帰らない時がいってしまわないうちに、冒険してみるんだな!ただ戸を一つしめて、陽気に一歩ふみだせば、それでいいんだ!古い生活にかわって、新しい生活がはじまるのさ。それで、またいつか―――いつかずっとあとになって、もう見るだけのことを見つくし、するだけのこともしつくして、帰りたくなったら、またぼつぼつ、家へ帰ってくればいいんだ。そして、あの、きみのしずかな川べにすわって、たのしいかずかずの思い出をあいてに暮らしたまえよ。・・・・≫

そして、憑かれたように出ていこうとするネズミをモグラが力づくで阻止します。
≪モグラは、すっかりおどろいて、ネズミの前に立ちふさがると、あいての目をしげしげとのぞきこみました。それは、あやしげにかがやいて、なんか一点を見つめ、すじのはいった、しかも変わりやすい灰色の目になっていました。
それはもう―――モグラの友だちの目ではなく、なにか、ほかの動物の目でした。モグラは、ネズミをぎゅっとつかまえると、むりやりに、うちへ引きずりこみ、投げたおし、おさえつけました。・・・≫

 「たのしい川べ」は動物たちが主人公とはいえ、擬人化され、しかも、ポターの描いた擬人化された動物たちとも違う、ましてや、数々の絵本に登場するネズミの特性を持ちながら擬人化されたネズミでもなく、ネズミやモグラやアナグマやヒキガエルの姿をした「人」とも言えます。
 さて、こんな動物たちが登場する、自然描写の美しい「たのしい川べ」のことを瀬田貞二は、掘り下げています。(続く)

☆写真下は、英国 お話の舞台になったと思われるクッカム・ディーンから、そう遠くないテムズ川

ヒキガエル7

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