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物語による日本の歴史

227いまは昔j
  『物語による日本の歴史』  
(石母田正 武者小路穣(文)中沢新一(解説)ちくま学芸文庫 )
 宗教学者 中沢新一が、「僕の叔父さん 網野善彦」(集英社新書)の中で、≪・・・網野さんのほどこしてくれた歴史学のレッスンは、絵巻物をのぞき込むやり方を身につけることだった。武者小路穣と石母田正の本は、子どもにもとても読みやすい、いい本だった。・・・≫と、書いたのが『物語による日本の歴史』(ちくま学芸文庫) です。出版社が変わってでも、今夏、再復刊されました。

  若き日の日本歴史家 網野善彦が編集し、10歳頃の甥、中沢新一に手渡した1冊です。当時、中沢が夢中になった「伴大納言絵詞」の絵巻のコピーは、掲載されていませんし、文庫本と言う形なので、実際に、今の子どもたちが、すっと手にするとは思えません。がしかし、中沢が『物語による日本の歴史』の解説最後でいうように、「(この本は、)小さな美しい花」として存在すると思います。

 「国引き」「国作り」「国生み」の神話から始まり、古事記、日本書紀、万葉集、源氏物語、枕草子、伊勢物語、土佐日記、平治物語、平安時代のはやり歌、保元物語、平家物語、かぐやひめにワラシベ長者・・・そして、最後に西行。と、物語のさわりの部分から、日本の歴史に迫る本です。読みやすい平易で丁寧な現代語訳がつき、それぞれわかりやすい簡単な解説。そして、巻末には「この本で日本史を学ぶ人のために」。

  誰しも、中沢新一のように、この本を「その後も大事にして、何度も何度も読み返して、最後はいくつかの章は諳んじることができるほどに、はまったのである」と言うわけにはいかないでしょう。しかしながら、子どもたちが探している入口、入りやすい入口は、こっちにありますよ。と、導くなら、子どもたちは日本の歴史や古典作品に対して、今までとは違う印象を持つにちがいありません。現在の小学校高学年以上の子どもたち、若者たちに、手に取ってほしい一冊です。なにより、著者・現代語訳者そして、編集者が、未来を担う人たちのために、真摯に仕事をしたのが伝わって来るのです。

≪第16話:平安時代のはやり歌の神楽歌≫
コオロギは こまったものさ
庭に来て とんで来て
木の根を かじって
オサマサ つの折れた
オサマサ オサマサ つの折れた
オサマサ こまったものさ
庭に来て とんで来て
木の根を かじって
オサマサ つの折れた

(『僕の叔父さん 網野善彦』に続く)

☆写真は、網野善彦・大西廣・佐竹昭弘が編集委員となった「いまは昔 むかしは今 全5巻」(福音館)と「物語による日本の歴史」(ちくま学芸文庫)です。「いまは昔 むかしは今 全5巻」は、1989年~1999年の10年以上にわたり、出版された大著です。一巻目の「瓜と龍蛇」のお話の部分を楽しんでいた長男が、「二巻目はまだか?三巻は?」と、聞いてきたのを思い出します。結局、最後の巻のときには大学生になっていました。
 で、今、本棚から引っぱりだしてみると、読んでないところの方が多いのに気付きました。まだまだ、勉強することがいっぱい。わくわくします。

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