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みんなみすべくきたすべく

鼠どもを呼びさまし・・・

     シヨン城j
(承前)カミュ「ペスト」(宮崎嶺雄訳 新潮文庫)
 ペスト禍や疫病禍は、どの作家を以てしても、不条理な現実だったと言えるでしょう。
 ただ、デフォーがロンドン、マンゾーニがミラノ、シュティフターがオーストリア、カミュがアルジェリアを舞台にした疫病の話で、各国にこうして話が残っているのに、日本では、さほど大きな形で残っていないのは、なぜなんだろう?と考えます。(個人的な勉強不足を棚に上げていますので、現代の文学ではなく、日本でも大きく伝わる文学があるなら知りたいと、思っています。)
 地震や他、天災に苦しめられてきたほど、大きな問題ではない?疫病のことを書き残すなんて、それこそ厄?
 それって、文書記録がない、処分したなどと言う、現代の一部の大人の言い訳の歴史の一端でもある????

  カミュの「ペスト」も最後を迎えます。
それは、鼠がまた、走りまわるのを見たところから始まります。鼠の大量死から始まり、鼠が走りまわっているのを≪それこそ楽しくなるようだ≫と。

 で、病疫は退潮。終息に向かい、町はロックダウンから解放。が、身内や友人の死・・・
≪事実、市中から立ち上る喜悦の叫びに耳を傾けながら、リウーはこの喜悦が常に脅かされていることを思い出していた。なぜなら、彼はこの歓喜する群衆の知らないでいることを知っており、そして書物のなかに読まれうることしっていたkらである――ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間家具や下着類のなかに眠りつつ生存することができ、部屋や穴倉やトランクやハンカチや反故のなかに、しんぼう強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろうということを。≫

☆写真は、スイス シヨン城 バイロン「シヨンの囚人」にうたわれた宗教改革者が実際に幽閉されていた場所。

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