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みんなみすべくきたすべく

ピュラモスとティスベ

      マルベリー4j
(承前)
 マルベリーを摘むと、手が赤く(赤紫)になってしまうのですが、これは「英米文学植物民俗誌」(加藤憲市著 冨山房)によると、ピュラモスとティスベの悲恋物語につながるようです。
 ≪ピュラモスとティスベ、双方の親は二人の仲を許さなかった。あるとき、ニノス王の墓近くのマルベリーの木陰で会うことを約束。ティスベーが先に来てみると、折しもライオンが殺したオウシを貪り食っていた。驚いたティスベーは、外套を脱ぎ落したまま逃げ去ったが、後から来たピュラモスが、鮮血で染まった外套を見て、てっきり恋人が食い殺されたと思い、絶望のあまり、その木陰で自殺する。ティスベーが戻ってみると、ピュラモスが倒れているので、自分もその後を追って身を果てた。そのマルベリーの木は二人の混じりあった血を吸って、それ以後、その実は真っ赤な色に染まったという。≫

 ふーむ。これは、さながら、シェイクスピア!ロミオとジュリエット➡➡じゃありませんか!

 この話は、オウィディウス「変身物語(上下)」(中村善也訳 岩波文庫)四巻にあります。カ・リ・リ・ロは、この「変身物語」をとても、楽しんでいた時期があって、この話の欄外に「桑の実」や「ロミオとジュリエット」等とメモしてました。忘れてるなぁ・・・・

 「変身物語」にあるのは、無類の美青年ピュラモスと『東方』第一の美女ティスベの話で、バビュロンの都を舞台としています。親たちの反対に合うものの、二人は、両家を隔てる壁の細い裂け目を通して語り合い、恋はつのっていきます。ある日、二人はこんな取り決めを交わします。
≪夜のしじまが訪れたら、見張りの目をかわして、門の外へ抜け出すことにしよう。家を出たら、そのまま町はずれまで行こう。広い野原に出ることになろうが、そこではぐれたりしないように、ニノス王の墓で落ち合い、木の陰に隠れていることにしよう―――そういうことにしたのです。じっさい、そこには、真っ白な実をいっぱい垂らした木が―――高い桑の木だったのです―――冷たい泉のそばに立っているのです。≫

 夜陰に乗じて、ティスベはヴェールで顔を隠し約束の場所に行きます。その時、牛を食い殺したばかりで口を血だらけにした雌獅子が泉の水で渇きをしずめようとやってきます。驚いたティスベはヴェールを落とし、暗い洞穴に逃げ込みます。泉で渇きをいやした雌獅子は、落ちていたヴェールを見つけ、血だらけの口で引き裂きました。それで、遅れて家を出たピュラモスは、その引き裂かれ血に染まったヴェールを見つけ、嘆き、後追い自死。その際、吹き出した血は、桑の実をどす黒く染めます。根も、血を吸って、垂れ下がる実を赤く染めました。恐怖を抱きながらも洞穴から出てきたティスベは、先の桑の木と様子が違うと思いながら近づくと・・・
 それで、ティスベは、最期に願います。
≪・・・・この桑の木にもお願いが…。今は、みじめなひとりのなきがらを、枝の下に隠しているけれど、もうすぐ、ふたりのからだを覆い隠してくれましょうか。これからは、わたしたちの死の形見に、いつも、嘆きにふさわしい黒い実をつけてほしいの。ふたりの血潮の思い出にね。≫

☆写真は、我が町の庭木のマルベリーを発見。 黒くなって食べ頃ですから、鳥が食べに来てました。カ・リ・リ・ロも、一粒持って帰って食べました。    
                マルベリー20

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