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みんなみすべくきたすべく

ロムニー

アランデルj
(承前)
 サトクリフの多くの作品に共通するのは、主人公の少年・青年の成長ということと、それを支える友情や信頼や尊敬…一人では乗り越えられなかったかもしれないことの後ろ、あるいは横にいる人の存在です。時には、その風景や花、鳥、そして、犬も大きな役割を持って登場しますが、やっぱり、主人公に寄り添う人の魅力が大きいのも、作品の特徴なのだと思います。

 「ケルトとローマの息子」(ローズマリ・サトクリフ作 灰島かり訳 ほるぷ出版)の主人公ベリックが部族から出て、ローマの奴隷になり、そこで出会う人の一人に、ローマの首席百人隊長ユスティニウスが居ます。
 ≪軍団の首席百人隊長であり、ローマ帝国の辺境の地に道路を建設したり、湿原の干拓をしたりした、その功績が有名な男だ。だが壁の前に立っているベリックの注意を引いたのは、その男の名声ではなく、彼の身にそなわっているなにかだった。実際、その男はだれといても目立った。がっしりして胸板が厚く、いかつい肩をしている。立ったところを見ると、奇妙なほど腕が長い。浅黒く引きしまった顔に、大きなワシ鼻。ひたいの中央にミトラの印をつけているが、その下でつながりそうな黒い眉は、砂漠のアラブ人を思わせた。だが手に持った酒杯から目を上げると、その目の色は意外にも、太陽の国の黒ではなく、澄んだ灰色をしていた。冷たい北の海の色だ。ときとして非情になることはあっても、けっして卑劣にはならない男の目だった。ああいう男に仕えることができたらいい。「あの男の奴隷ならよかった!」ベリックは思った。「あの男の奴隷ならよかったのに!」≫

 この首席百人隊長ユスティニウスは、自分を根っからの「土木技師」といい、再度、北へ(ブリテン)湿原の干拓に戻ります。それを最後の仕事として完成させたいという思いをもって、また、そこに蘇りつつある農場での生活のために。

 その干拓した土地というのが、今のロムニーマーシュという土地です。Romny 、つまりローマです。
 そして、ローマが作ったのが「リーの防壁」(Rhee Wall)。ただWallを壁と訳したいところですが、土手とか堤防と訳してみると、現在の水路と土手のような場所のイメージができるかと思います。
≪湿原の南橋にあるマーシュ島は、島といっても土地がまわりより二、三フィート盛り上がっただけの場所にすぎない。ほんの1マイルほどの島だが、「リーの防壁」と呼ばれる大堤防がここを守っている。さらにレマニス港の下手の北の水門から続いている砂利の堤も、この島の海岸線沿いを通っている。…≫

今、この辺りは牧草地になっていて、上質の羊毛でも有名なようです。が、このような土地は、現代の地球温暖化で様々な影響があるのではないかと、危惧します。実際、温暖化とは程遠かったローマンブリテンの時代も、三日三晩続く大嵐と戦うというのが、物語りのクライマックスとなるのです。

そして、この辺りのことを、地図で見、WEBの映像で見ましたら、おお、昔、訪ねたライの隣町ではないかですか?そうそう、あそこも、向こうに海が見えるものの、そこに行きつくまでは、沼のような湿地だった・・・なぜ、ライに行ったか?それは、以前にも書きましたが・・・➡➡(続く)

☆写真は、ロムニーではなく、英国 アランデル城から、イギリス海峡を見る。ロムニーは、この海岸線をずっと東方向、ドーバー海峡に近いところ。(撮影:&Co.I)

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