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みんなみすべくきたすべく

連綿と続く

ルガーノj
(承前)
 「いいなづけ」(マンゾーニ 平川祐弘訳 河出書房新社)の冒頭、コモ湖の風景描写は、行ったことのないものにも、その楽しみをわけてくれます。

 ≪連綿と続く二つの山脈と山脈にはさまれて南へのびるコーモ湖の峡谷の一つは、その山脈が突き出したり、退いたりするにしたがって、あるいは岬や鼻となり、あるいは入江や湾となっているが、右手から山の一角が張り出して、その向いからもなだらかな斜面が迫ってくると、湖面はにわかにせばまって、湖はまるで川の流れのような姿をとる。そしてそこに橋があって、両岸を結びつけていることが、湖が川に変わったという印象を見る人の目にいっそう強く刻みつける。橋はコーモ湖が終り、アッダ川がふたたびはじまる徴なのである。三つの大きな渓流の沖積土でできた斜面は、相接した二つの山――サン・マルティーノ山と、ロンバルディーア方言でレーゼゴーネと呼ばれるいま一つの山――にもたれたような恰好で、一連の尾根からなだらかに下へのびているが、その尾根のぎざぎざした形はいかにも鋸に似ていた。それだから正面から見るかぎり、たとえばミラーノ市の城壁にのぼって北方を見わたすと、はじめて見た人でもその鋸状の尾根はすぐさまそれと見当がつくのである。連綿と続く……≫
 と、長い描写なので、ほんの冒頭 はじめの部分ですが、この風景は、物語りの一つの舞台であるレッコという町につながっていきます。

 今回、写真に使ったのは、コーモ湖ではなく、ルガーノ湖の風景➡➡ ⇒⇒ですが、ルガーノ湖は、マンゾーニの風景に登場するコーモ湖のすぐ西隣にあります。このスイスとイタリアの国境にある湖は、さらに西に位置するもう一つのマッジョーレ湖と並んでいます。➡➡  地図で見ると、この3つの湖は、大昔の地球変動でできた三つの窪みのように見えます。それぞれの湖の水は、スイス アルプスから流れ着き、それぞれがアッダ川やティチーノ川から ポー川に、そしてアドリア海にそそぎます。

 このような写真では、湖と山々の一部しか見ることができませんが、マンゾーニのような筆力のある風景描写は、そこに行かずともその空気が伝わります。

☆写真上、ルガーノ湖からミラノ方向を見る。写真下、ルガーノ湖畔、イタリア側にあった教会。

ルガーノjj

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