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本文 解説 付録

ベリンツォーナj
 (承前)
 マンゾーニ「いいなづけ」(河出書房新社)の訳者平川祐弘は、解説【『いいなづけ』の魅力】で、「いいなづけ」は、日本文学で夏目漱石の「坊ちゃん」が誰しもが読むものという共通の認識が成り立っているのと同様の位置づけがイタリアであるにもかかわらず、日本での評価が低いと嘆いています。

 ヴェルディの「レクリエイム」という曲は、マンゾーニへの鎮魂歌らしいし、日本での知名度の低さより、マンゾーニは、はるかに大きな人物だったようです。実際、彼が過ごした、スイス ルガーノの教会➡➡ (学校?)や、マンゾーニ広場と名付けらえた広場が、あったように、イタリアでなくともスイスでさえ、見つけることができた彼の足跡ですから、さぞやイタリア・ミラノでは、たくさんの遺物が見られることと思います。だから、ミラノの校長先生も、この機に読みなさい。と・・・が、もしかしたら、日本で夏目漱石を読んでいない人が増えている(多分)ように、イタリアでも、マンゾーニを読んでいない人が増えているのかも????

 訳者は、マンゾーニの語りは講談のように話がはずんで面白いと言います。確かに細かい人物描写は、それぞれの動きから、その人の性格や深い心情までも読み取ることができます。もちろん、先に挙げた風景描写や、衣服なども描写も然りです。

 また、訳者は、マンゾーニだけでなく、ボッカチオ「デカメロン」(河出文庫)、ダンテ「神曲」(河出文庫)の訳にも携わっていますから、ダンテと比べている箇所も、興味深いものでした。
≪マンゾーニは散文で、ダンテは詩文で書いているが、眼の付けどころは同じという感じがする。それだけではない、マンゾーニはダンテという偉大なる先人を自覚して、その詩句を頭の片隅で思い出しながら書いていたのだろうと思われる。≫
・・・・うーん。さらに読書の連鎖は続く・・・・とはいえ、その前に、もう一つ片づけておかないといけないことが・・・

 訳者解説のさらに後ろに付録として、フーゴ・フォン・ホーフマンスターの一文が掲載されています。このフーゴ・フォン・ホーフマンスタールは、オーストリアの詩人・劇作家で、「チャンドス卿の手紙  他十編」(桧山 哲彦訳 岩波文庫)のほか、かつて、森鴎外などが訳しているものもあるようです。そして、この一文は、「いいなづけ」の鋭い分析とともに、イギリスのウォルター・スコットの名前が出てきたり、ペスト禍の比較では、シュティフターが出てきたりして、読書の連鎖がまた続く。 (続く)

☆写真は、スイス イタリア語圏 ベリンツォーナ
 

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