FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

金色の飾り玉には線条細工

細工j

(承前)
「いいなづけー17世紀ミラーノの物語」(マンゾーニ 平川祐弘訳 河出文庫)

 「いいなづけ」800ページ余を読んだとはいえ、信仰について描かれている箇所、イタリア文学ですから、その人間の行動の中心になる部分で、重要な部分だとは理解できるのですが、どうも、個人的にしんどい場面が多かったのは事実です。
 ただ、訳者の平川祐弘があとがきでいうように、「もし、部分しか時間がないなら、第1章から第8章までを一まとまりとして読むのも次善の策かと思われる。(なお第1章は歴史的考証の部分は飛ばして読んでも構わないように思われる。)」と、優しいお言葉。この解釈を知らずに、読んでいったのですが、確かに、第8章までは、一気に楽しめるのです。ですから、この大著を今から読もうという方は、訳者の言葉にしたがって、第8章まで読み、あと、ミラノの校長先生の薦めた第31章から後を読んでも、ずいぶんの読書になること、間違いありません。

 世に自然描写・風景描写の優れた作品は、数多くありますが、写真の挿絵ルチーアの衣装について、こんなに細々と描かれているのも、お洒落なイタリア人、今や、ファッションの中心地のミラノが関係しているかも?と思ったりします。

≪その風俗はいまなおミラーノ領内の農民の女たちの間に残っているが、銀の留めピンはルチーアの頭のまわりに光背というか後光のようにひろがっている。首のまわりには柘榴石と金色の飾り玉が交互に連ねてある首飾りをかけていた。その金色の飾り玉には線条細工がほどこされている。身には花模様のついた金襴の美しい胴着をつけ、その胴着と分れている両の袖に左右の手を通していた。その袖は色美しいリボンでもって胴着で結んであった。釜糸の絹を使った短いスカートは、襞が細かくつまっている。朱色の靴下、これもやはり絹製で刺繍のほどこしてある上履。・・・これらはお式当日の特別な飾りだったが・・・≫

 ま、信仰の場面がしんどくて、お洒落な部分に興味がわくというのも、カ・リ・リ・ロの読書力が露呈しています・・・が、しかし、ルチーアの身に着けるものの多くが「絹」とされ、村の晴れの日の装いに「絹」。現代でも高価でお洒落な素材の代名詞ともいうべき「絹」。これは、ルチーアの「いいなづけ」の≪レンツォは絹の製糸を生業としていた。≫という物語の伏線に関係するからだと、思います。(続く)

☆写真は、ルチーアの挿絵近くに線条細工のイヤリング

PageTop