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森林管理官が聴いた野生の声

鶴j
「動物たちの知られざる生活――森林管理官が聴いた野生の声」(ペーター・ヴォールレーベン 本田雅也訳 早川書房)
(承前)
「樹木たちの知られざる生活――森林管理官が聴いた森の声」(ペーター・ヴォールレーベン 長谷川圭訳 早川書房 ノンフィクション文庫)の著者は、「動物たちの知られざる生活――森林管理官が聴いた野生の声」(ペーター・ヴォールレーベン 本田雅也訳 早川書房)も書いています。

「樹木たちの知らざる生活」の方は、えっー!知らなかった・・・という科学的知見が多い本でしたが、「動物たちの内なる生活」の方は、へぇー!そうなんだ・・・と動物のフィクションを読んでいるような感じがします。「内なる生活」と題されているように、動物の心に近づこうとしているからです。
 章題にしても、「倒れるほどの母の愛」「感謝」「嘘いつわり」「勇気を出して!」「下心」「死がふたりを分かつまで」「命名」「悲しみ」「恥じらいと後悔」「共感」「痛み」「恐れ」「コミュニケーション」・・・・・なんか、人生の方向を助言してくれるエッセイ集のように思えませんか?
 
そして、本来動物たちのことを書いているこの本の中に、著者自身も、少々遠慮がちに、キノコ、菌類の一種のことを書いている部分があります。
≪一般の菌類であっても…動物にも植物にも分類できないため、その二つと並ぶ第三の界を形成している。菌類は動物と同じく、他の生物の有機物から栄養を摂取している。くわえてその細胞壁は、昆虫の外皮と同じキチン質からできている。
枯れた木の上で黄色いじゅうたんを形成している菌類、すなわち粘菌は、動くことだってできるのだ!・・・≫
・・・と、粘菌の一種を紹介し、その行動研究のことも記述しています。それは、日本人の研究者による実験だとも。そして、著者自身は「この粘菌の例がとても気に入っている」とも。

そして、著者はあとがき「一歩戻って」で、こう言います。
≪むしろ私が望むのは、今の世界を共に生きるものたちと付き合うなかで、それが動物であろうと植物であろうと、彼らへの敬意が少しでも戻ってくればいいな、ということである。≫

☆写真は、スイス ルガーノの湖水近く。

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