FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

疫病流行の翌年

つぐみj
「ペスト A Journal of the Plague Year」(1722年作)(デフォー作 平井正穂訳 中公文庫)➡➡
 (承前)
 さて、このデフォーのペストには、今現代のことかと思わせる記述があります。
例えば、
≪その病人が病気と自覚した以前までさかのぼって、かつて往来したすべての人をしらみつぶしに調べて全部閉鎖できれば、話は別だ。だが、どこまでさかのぼるか、どこで線を引くか、これは厄介な問題であろう。≫
これって、何か月前まではまったく知らなかった言葉、クラスター探しのことですよね?

あるいは、近い将来、現代でもありそうなこと、
≪それにしてもわがロンドン市民の性格はすこぶるせっかちだったと思う。…流行が始まるとともに驚愕のあまり、彼らは互いに見向きもしなくなり、互いにその家を敬遠してしまった。のみならず、まだその必要もないのに(と当時私は考えたのだが)あわてふためいてロンドンから逃げ出していった。…今度は、もう今の疫病は当初に比べてずっと感染しにくくなった、たとえかかっても死ぬ率は少なくなった。現にはっきり病気にかかっていた人で日に日に回復している人はじつに多い。云々というのであった。市民はさっそく妙なふうに勇気を発揮して、自分の身の安全のことも、病毒そのものも、もはや眼中になくなってしまった。そうなると恐ろしい疫病も普通の熱病も大した違いはないというわけだった。そこで大胆不敵にもどんなところへも顔を出し・・・・≫

が、しかし、300年前のロンドンと現代と比べてみると、
≪医者たちはもちろん、こういうあさはかな考え方に対して全力をあげて警告した。そして心得書を印刷して、市民はもちろん、郊外にいたるまでくまなく配布し、死亡者は減りつつあるが、まだなお自粛生活を続けてもらいたい。平生の日常生活においても極力用心をつづけてもらいたいと勧告した。もしものことがあれば、全市にわたって疫病の再燃の恐れがあり、再燃したあかつきには、今まで蔓延してきた流行とは比較にならぬほどの惨禍と危険を及ぼすことになる、と警告も発した。≫
・・・・今は医者たちの印刷した警告ではなく、WEBも、テレビや新聞もあります。また、現代も、医者や科学者たちは、必死で警鐘を鳴らしています。そして、志高く、頑張ってくれている医師をはじめとする医療関係者の皆さんが居ます。
 が、しかし、現代は、ほんの一部だとはいえ、偏差値が高いだけで医者になったような一部の若者(馬鹿者)の自覚のなさを知ることもあります。

 さて、この本で、もっとも衝撃的で、いつものように個人的な無知の露呈が、このロンドンペストの大流行1665年の次の年に何が起こったのか・・・でした。
 ≪ロンドンにふりかかったもう一つの恐るべき災厄…疫病流行の翌年、ロンドン大火災によって、ほとんど無限といってもよいほどの家財、衣類その他が焼失するとともに、全国から集まっていた商品や製造品の充満していた倉庫もすべて灰燼に帰してしまったのである。そのため欠乏品を補い損失を元通りにするために、わがイギリス王国全土にわたり、いかに取引きが活発になったか、けだし想像以上のものがあった。・…疫病流行以後につづく、そしてまたロンドン大火災に続く、七年間ほど、全国にわたって活発な取引の動きをみたことはいまだかつてなかった。≫

 今、このときが、終息に向かったとしても、あるいは、ロンドンを焼けつくすような大火事なんか、今や起こるべくもないにしても、地震や、地球を怒らせている以上起こると思われる自然大災害が起こらないことを、ただ、祈るだけです。

☆写真は、冬は口をつぐんでいるというツグミ。

PageTop