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みんなみすべくきたすべく

OAK

湖水地方12
「英国貴族、領地を野生に戻す」(イザベラ・トゥリー著 三木直子訳 築地書館)
(承前)
 「英国貴族、領地を野生に戻す」➡➡ の第1章の初めに引用されている言葉が印象的です。
≪樹齢四百年の一本のオークは、生き物たちの生態系そのものだ。樹齢二百年の木が一万本あってもなんの役にも立たない。≫

 先日の「妖精のキャラバン」(ビアトリクス・ポター作 久野暁子訳 福音館)の最後のお話「オークの木の妖精」➡➡は、子どもに向けたフィクションです。一方、「英国貴族、領地を野生に戻す」は、自然,、そして地球環境を考えるノンフィクションですが、「オークの木の妖精」と、似ている箇所があります。

≪…大昔にイギリスに住んでいたドルイド教徒たちはオークの木立の中で礼拝を行ったし、王国初期の王たちはオークの葉で作った冠で身を飾った。…強さと生き残りの象徴であるその枝の下で恋人たちは結婚の儀式を行い、幸運のまじないとしてドングリをポケットに忍ばせ、クリスマスにはオークのユールログ(クリスマス前日に燃やす大きな薪)をヤドリギとヒイラギとともに飾った。・・・・・庶民にとっては、オークは生計の手段であり暮らしを支えるものだった。ドングリはブタの餌になり、パンを作るのにも使われた。樹皮は皮をなめすのに使えたし、刈った枝は、冬は家畜の飼料になり、薪にもなった。おが屑は肉や魚を燻製するのに使い、没食子からはインキを作った。そして木材で炭を作り、それを使って鉄を製錬した。・・・・・何より木材として珍重された。床材、家や納屋の支持梁、そして島国であるイギリスにとって一番重要だったのが、造船だった。・・・≫

 そしてまた、こんなことも書かれています。
 「おしゃべりなドングリ集め」という学名(!)通り、カケスは発芽する可能性の高いドングリだけを選ぶといい、「イバラの茂みはオークの母」という古い森の格言から、イバラの茂みがなければ共有地には樹木が存在しないだろうと、あります。つまり、カケスにしても、イバラにしても、オークにとっては、どちらか、一つでは成り立たない、「共生関係」。
 このイバラの茂みは、17世紀の森林官が「ドングリとアッシュの翼果をばらばらに散らばった茂みに投げ入れるように指示され、≪それらは茂みに守られて成長し、いかにも完璧な木となって、将来、材木がたっぷり採れるだろう≫とあります。そして、その頃の法律には、それらを傷つけた者に3か月の強制労働や鞭打ちが行われたそうな。

・・・・と、英国民にとって、遠い昔から共にあったオークのことを知ったうえで、ビアトリクス・ポターの「オークの木の妖精」➡➡の話を読んでみると、一つわかったことが・・・(続く)

☆写真は、英国湖水地方 ニアソーリー。中央の一本の木がオークと思われます。(撮影:&Co.I)

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