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片手いっぱいの星

花いっぱいj
「片手いっぱいの星」(ラフィク・シャミ 若林ひとみ訳 岩波)
(承前)
「こわい、こわい、こわい?-しりたがりネズミのおはなし」➡➡の作者ラフィク・シャミは、シリアのダマスカス生まれの作家で、ドイツに亡命後は、ドイツ語で作家活動をしています。シリア=イスラム教と思いがちですが、この人はキリスト教区に生まれ、両親もキリスト教徒でした。
 
少年から青年へ・・・自伝的要素の日記形式の話は、読みやすいものです。もちろん、今の日本の青少年とは、まったく違う毎日を暮らしているのですが、基本は、初恋あり、若者らしい正義感あり、思春期の青少年の心と行動が、共感を呼ぶことだと思います。実際に、その年齢の人が読んでくれれば・・・

というのも、この本を図書館でかりたものの、どうも新しい。1992年(三刷発行)とありましたが、しおりが、新品のように挟まっていました。予約して書庫から出してもらいましたが、30年近く、新品だったの?あーあ。

中には、知恵のある大人たちが出てきます。特に、サリームじいさんという老人は、様々な機知に富む話をします。「ぼく」は、サリームじいさんの話から、新聞記者を目指すようになるのですが、最後には、地下組織の新聞を発行する一人になり、政府批判、体制批判をしていきます。

サリームじいさんは言います。
≪新聞記者というのは、賢くて勇気のある人間だよ。紙とえんぴつだけで、軍隊や警察をもった政府に不安を与えるんだ。・・・・いつも真実を追求して政府をおびやかすんだ。そして、どの政府も、真実をかくそうとする。新聞記者ってのは御者みたいに自由な人間で、御者同様、危険にさらされて生きているんだ。≫

訳者あとがきにありました。
『片手いっぱいの星』というタイトルの意味は、≪アラブでは、星は希望を表すといいます。あたりが暗ければ暗いほど、つまり、状況が過酷であればあるほど、星はますます明るく輝きます。片手いっぱいの星―――それは、サリームじいさんの手の上で輝き、常に”ぼく”に希望と勇気を与えてくれる、じいさんの愛の象徴なのです。≫(続く)

☆写真は、スイス レマン湖畔

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