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みんなみすべくきたすべく

月やはるか遠くの星たちからふり注ぐ冷たい光

テムズ12
(承前) 
  アトリーの評伝➡➡は、二段組みで400ページ以上もある、大作です。が、今、先日来 書き続けたポターとその周りのことを書いているときと、ずいぶん、気分が違います。前向きに、自然のこと、子どものこと、作品のことを考えて生涯を閉じたポターを思い書くことは、時も場所も何もかも離れたここにいる者にとっても、力を与えてくれた時間でした。
 が、アトリーのネガティブな思考に寄り添うことは、なかなか大変でした。

 ただ、個人的には、愛する息子が、結婚し、住み続け、自死したのは、かのガーンジー島➡➡ ➡➡で、過日見た映画や、読んだ原作を思い出すきっかけとなりました。
 また、評伝には、デ・ラ・メアとのよき交流についても少し出てくるし、ファージョンとの交流も、ほんの少し出てきます。(ここで、デ・ラ・メアやファージョンに深入りすることはやめておきます。)

 さて、アリソン・アトリーの書いた児童文学「時の旅人」(小野章訳 評論社/松野正子訳 フェイス・ジェイクス絵 岩波少年文庫)のことは、またいつか書くとして、この評伝で見つけたアトリーの一文を引用して、アトリーの評伝から離れます。
 評伝の著者デニス・ジャッドはいいます。(この一文は、)≪亡き友人のウォルター・デ・ラ・メアの特徴をよく分析しており、同時にそれはまた、アトリー自身の墓碑銘にも相当するものである。≫

 以下、チャールズ・タニクリフ➡➡の挿絵によるアトリーのエッセイ集「Seacret Places」(1972年)の中にある「ウォルター・デ・ラ・メアの詩」
≪ウォルター・デ・ラ・メアの不変なる魅力、そして能力とは、人生におけるあらゆる諸相に対する興味、またその新しい刺激と交流がもてることにほかならない。彼は、とてつもなく大きな好奇心をもっていた。それに、まるでかわり映えしない代物を明るく照らしだす灯火と電光をもっていて、そこに、美を与えている――というよりも、彼は、その美をこちらに示し、これまで気がつかなった繊細なる複雑さを私たちに教えてくれている。そこではじめて、私たちは、あたかも、かのアダムがエデンの園で花や生き物を眺めたように、その事物の真価と出会うことができるのだ。そのとき、これらのものに注がれる光は、やさしい黄色の蝋燭の光、あるいはまぶしい虹のスペクトル、または、月やはるか遠くの星たちからふり注ぐ冷たい光のようである。≫
☆写真は、英国 オックスフォード テムズ上流

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