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みんなみすべくきたすべく

永久の平和が存在する場所は、自然をおいて他にはありません。

ダッチェスj
「ピーター・ラビットの野帳  フィールドノート」(ビアトリクス・ポター絵 アイリーン・ジェイ  メアリー・ノーブル  アン・スチーブンソン・ホッブス 文  塩野米松訳  福音館)

(承前)
 ビアトリクス・ポターが、キノコの研究とスケッチを続けているときに、一番、心を許したのが、郵便配達夫のチャーリー(チャールズ・マッキントッシュ)でしたが、彼は、ビアトリクスが子どもの頃から夏過ごす家に郵便を配達してくれていた人でした。

 ビアトリクスの日記に、こうあります。
≪鋲のついた半長靴をはいたチャーリーが大股で歩いた後をたどりながっら、水たまりから水たまりへと跳ねてついていくのは、私の楽しみな遊びの一つだった。数学の得意な人ならば、彼が何千マイル歩いたかを計算できたかもしれないが、私には考えも及ばぬことであった。彼の後任の郵便配達夫は、三輪車を持っていたので、足を痛くすることはなっくなったかもしれないが、近代生活や便利な機械というものは、個性とか自然誌研究には縁のないものだ。スコットランドの田舎の郵便配達夫といえば、ほとんど、例外なく何らかの学問に優れている。たぶん、それは長時間にわたる孤独な思索と観察がもたらした結果なのだろう。≫

鋭い指摘です。思索と観察・・・これは、ポター自身が身につけていたものですが、郵便配達夫のチャーリー、のちパースシャーのナチュラリストと呼ばれたチャールズ・マッキントッシュの姿を見ていたのです。同じように、郵便配達夫で思い出す人がいます。宮殿を建てたシュヴァルです。  ➡➡

閑話休題。
ともかく、その論考を共に歩んだのが、当時の英国階級社会では、学問から遠かった郵便配達夫の男性だったところが興味深いことです。そして、下手な専門家や学者より、彼に師事したポターは、彼の死後、こう書きます。
≪50年前、チャーリーは鋭い観察眼を備えた、第一級のフィールドナチュラリストでした。そして、一生の間、学び続ける研究者でもありました。その名前と業績が、生まれ育った土地に記され、称えられることは、彼にとってもっともふさわしいことです。永久の平和が存在する場所は、自然をおいて他にはありません。もし、後世の人々が、老いも若きも、チャーリー・マッキントッシュのように自然を学んでくれたら、素晴らしいことだと思います。≫

☆写真は、『パイがふたつあったおはなし』(石井桃子訳 福音館)犬のダッチェスさんに手紙を届けた郵便配達夫が後ろに描かれていますが、チャーリーでしょうか・・・

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