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ポターの周りの人 (2)ギャスケル

ギャスケル2
(承前)
 次に、ポターの父親と教会関連の知己が、ウィリアム・ギャスケル。
 この人とも、家族ぐるみの付き合いをしていた一家でしたが、ビアトリクス・ポターは、たくさんの客人の中で一番慕っていたとされています。この人とのエピソードは、ちょっといいものです。

 すでに妻を亡くし70歳を越したギャスケルに、当時8歳のビアトリスは、クリスマスに毛糸のマフラーを編んでプレゼント。
「・・・・・これを首に巻くときは――この天候では毎日だろうけどね――かならずきみのことを思い出すよ」と、ギャスケルを、おおいに喜ばせたのでした。
  ウィリアム・ギャスケルは、子どもたちと遊ぶのが大好きで、また、子どもと一緒に動物を可愛がることも好きでした。スコットランドに行った時も、ビアトリクスにこんな手紙を書いています。
≪ヒースに寝転んでいるウサギを見て、トミーのことを思いだしましたよ。トミーはちゃんとごはんを食べて元気でいるでしょうね。もし私を覚えているようだったら、私からよろしくと伝えてくださいね。≫

また、ビアトリクスの方でも、ギャスケルの死後10年後に、彼と共に過ごしたスコットランドの休暇を、回想しています。
≪ああ、なんとはっきり今も思い出せるのだろう。彼はダイカイズの玄関口の医師団に、あたたかな陽射しをあびて、気持ちよさそうにすわっている。グレーのコートに古いフェルト帽子、膝の上には、新聞がある。と、ふいににっこりやさしい笑顔を上げる。とんとんと足音がきこえてくる。アオバエのぶんぶんいう音が小道に消えていく。プリント地のワンピースに横じまのストッキングをはいた幼い女の子が彼のそばに飛んできて、シモツケソウの花束をさしだす。彼はひとこと『ありがとうね』といって、かたほうの腕を少女にまわす。・・・・≫

さて、ウィリアム・ギャスケルは、作家エリザベス・ギャスケルの夫です。エリザベス・ギャスケルには「女だけの町(クランフォード)」(小池滋訳 岩波文庫)(写真上) 「ギャスケル短編集」(松岡光治編・訳 岩波文庫)などの作品があります。ディケンズが称賛した作家でもあります。当時の女性の地位を物語るかのように、写真上に写る作者の名前は、Mrs.ギャスケル。エリザベスという名前ではなく、ギャスケル夫人となっています。・・・と、話が、また横道にそれ、ポターから離れそうなので、今回は、やめておきます。(続く)

***ちなみに、ウィリアム・ギャスケルの英語版ウィキペディアの写真は、ビアトリクス・ポターの父親が撮ったものだと明記されています。

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