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みんなみすべくきたすべく

紙は美味しいのか

ヒルトップ11
(承前)
 ポターの描く動物たちは、擬人化といえども、本来の生態に限りなく近く、人間さまの心理状況ではないのが、魅力だと思います。が、描かれる小動物たちの行動は、人間さまの行動に似ている部分もあって、ポターの鋭い観察力と想像力をもってすれば、楽しい物語展開になっていくのだと思います。

 「ビアトリクス・ポター   描き、語り、田園をいつくしんだ人」(ジュディ・テイラー著 吉田新一訳 福音館)「ビアトリクス・ポターの生涯  ピーター・ラビットを生んだ魔法の歳月ー」(マーガレット・レイン著 猪熊葉子訳 福音館)に、引用されている数々の手紙の中に、「ひげのサムエルのおはなし」➡➡につながるエピソードが書かれています。

≪私が書斎の暖炉の前でしずかに本を読んでいたら、なにかが前の廊下をぴたぱた歩く音がして、それから、書斎のドアの外側をひっかく音がきこえてきたのです。子犬か子ネコだと思って、知らんぷりをしてました。ところが、翌朝になってわかりました。サムエルが家に入りこんでいたのです!・・・・・(中略)・・・・・ドアの下を無理やり通って。まったく変なものを盗んでいくんです!私が写真の仕事に使っていた大きな食器棚というか戸棚というか、あったでしょう?あれの内側に、きれいな緑色と金色の紙がはってあるのですが、それをサムエルは、立ち上がった背の高さで、ぐるっとみんなちぎってはがしてしまいました。小さな歯のあとが、くっきるとついています。ちぎれた屑もみんな持ち去っていて、ないんです。いったいなにに使うっていうんでしょう?細君のアナ・マライアも手伝いにきてたにちがいないんです!ただふしぎなのは、おなじ戸棚に糊の刷毛がのっていたのに、それはもっていかなかったってことです。≫(吉田新一訳)

「ひげのサムエルのおはなし」は、ポターが、ヒルトップ農場を買ってすぐ、家の中をねずみがわがもの顔に走りまわっているのを知ってただちに出来上がったもののようで、まずは、猫を飼い、ネズミを撃退したかのようにみえたのに、サムエルは、ときどき舞い戻ってきたことを、手紙に書いているのです。

 え?サムエルが、緑色と金色の紙を持ち去ったのは、サムエルの家の壁紙に使用したの?
 ポターは、糊の刷毛のこと心配してますからね。
 単に、紙についていた糊がおいしかっただけじゃないの????(続く)

「ひげのサムエルのおはなし」(ビアトリクス・ポター作・絵 いしいももこ訳 福音館)
☆写真は、1992年に湖水地方に行ったときのヒルトップ農場の案内と入場切符。

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