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しりたがりネズミのおはなし

こわいj
「こわい、こわい、こわい?-しりたがりネズミのおはなし」(ラフィク・シャミ文 カトリーン・シェーラー絵 那須田淳訳 西村書店)
「ああ、こわい、こわい、こわい。ネコよ、ネコがおいかけてきたの」とお母さんネズミが、飛んで帰ってきます。子ネズミのミナは、「こわいって、どこにいるの?」と聞くと、お母さんネズミは「こわいというのは気持ちなの。いるとかいないじゃなくて、そんな気持ちを持つとか、持たないっていうことよ」
・・・・・と、抽象的な気持ちの説明から入るこのお話。最初に、子どもの関心を捉えるというところで、少々しんどい。
「コワイ」を見つけるために、子ネズミ ミナは、ライオン、カバ、スカンク、ハリネズミ、象、犬、バッタ、亀、そして、ヘビに会います。そのうち、カバやバッタ、ハリネズミ、亀の登場は、必要なのかとも思います。
「コワイ」を説明せんがために、回り込んだ文章表現になっているのではないかと・・・

ただ、絵は、あっさり、簡潔に物語り、楽しいものになっています。見返しの部分から、話が始まり(呑気に食べながら歩いているネズミを、背後からねらう猫の絵)、タイトルでは、猫に追いかけられているお母さんネズミの絵。本文こそ始まっていませんが、もう、お話は伝わってきます。また、活字の大きさも変え、「コワイ」を視覚化しているところもあります。そして、最後は、お母さんのもと、きょうだいのもとに戻った子ネズミが、身体を寄せ合い、眠りにつくという「コワイ」と、まったく反対にある「安心」というところで終わるのです。そして、最後の見返し(上記写真)で、目覚めたお母さんと子ネズミたちの楽しい明日が描かれています。

 この絵本を読んでみて、「コワイ」という概念を子どもたちに、文章で伝えることの難しさを考えました。作者はラフィク・シャミという、シリア出身のドイツ語の作家で、一筋縄ではいかなかった背景を持つ人ですが、絵本の中でコワイというのを115歳になるお爺さん亀に語らせる部分があって、「わしはな、280種類ものこわいをしっておる。・・・・」と、言わせています。これは、ラフィク・シャミという本人の言葉を代弁させているように思います。

 この作者は、「片手いっぱいの星」(ラフィク・シャミ 若林ひとみ訳 岩波)という、ヤングアダルト向けの作品、大人の作品をたくさん書いています。(続く)

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