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グレイ・ラビットのおはなし

グレイ・ラビット3
(承前)
 ねずみのラットの 結び目のついた尻尾の話の発端から、ぐるっと回って、時系列では、一番初めの「グレイ・ラビットのおはなし」➡➡に戻ってきました。
 「グレイ・ラビットのおはなし」は4つのお話が入っていて、石井桃子・中川李枝子訳です。
 福音館の方は絵本となっていて、石井桃子・中川李枝子訳(写真左)、岩波少年文庫の方はフェイス・ジェイクス絵(写真右)となっています。
 また、それぞれの名前の訳し方が、神宮輝夫訳の童話館のものと、石井桃子・中川李枝子訳のものでは少し異なっています。例えば神宮輝夫訳では、ふくろう博士とするのが、石井桃子・中川李枝子訳では、カシコイ・フクロウ、等。

 さて、ふくろう博士の家のドアについている銀の鐘の呼び鈴は、グレイ・ラビットが、自分の尻尾と交換したものですが、グレイ・ラビットは、何故、しっぽをふくろう博士に差し出したのか?
 それは、グレイ・ラビットは、自分のしっぽと引き換えに、人参の作り方を、ふくろう博士に教えてもらったからです。
 しっぽを提供してまで、一緒に住む者たちのことを思うグレイ・ラビットの健気さに引き換え、野ウサギのヘアやリスのスキレルのわがままで横柄な姿勢が、どうもやっぱり気にかかります。

 ・・・・ヘアもスキレルも、しっぽをなくしてきたグレイ・ラビットに容赦ありません。
≪「いったい、きみ、しっぽをどうしたんだね?」ヘアが、朝ごはんのしたくに、いそがしく動きまわっているラビットを、じろじろ見ながらいいました。「あなた、しっぽをどこにおいてきたの?」とスキレルも顔をしかめました。「カシコイ・フクロウにあげたの。」というと、ラビットはうつむきました。「はずかしいことだ。」と、ヘアがいいました。「はずかしぃぃぃ。」まけまいとスキレルもいいました。大つぶのなみだが、グレイ・ラビットのお茶の中に落ちて、カフスに、はねかえりました。・・・・≫

 ヘアやスキレルは、上記のような性格ですが、他の登場人物たちには、もっと近寄りたい気持ちです。改心したネズミのラット➡➡にも、厳しいふくろう博士⇒⇒にも、そして、グレイ・ラビットの尻尾をとり返すために、銀のコインを細工し、銀のベルをつくってくれたモグラにも。

≪モグラは銀のベルをもってきたのでした。そのベルは、ツリガネ草の花よりは、ちょっと大きくて、ジギタリスの花よりは、ちょっと小さくて、内側には、白い雌ウマのしっぽの毛につるした、サンザシの実がぶらさがっていました。モグラがふると、そのベルは「リン、リン」という、うつくしい、すずしい音をたてました。それは、とてもやさしく、とてもかすかな、うたうようないい音でしたので、スキレルとヘアは部屋のなかに、ミソサザイがはいってきたのかと、あたりを見まわし、ラビットは、星がうたっているのかと思って、窓の外を除いたほどでした。≫

≪このベルを、ふくろうに差し出すと、ラビットの柔らかい白いしっぽを、もとあったところにあて、ハコベの糸でぬいつけ、オトギリ草のしるをぬりつけましたので、グレイ・ラビットが家にかえりついたころには、しっぽは、またもとどおり、ちゃんとくっついたのです。≫

アリソン・アトリーの描写は細かく、豊かな自然を丁寧に描いているのは、このシリーズの魅力でもあります。
*絵本「グレイ・ラビットのおはなし」(石井桃子・中川李枝子訳 マーガレット・テンペスト絵 福音館)
*「グレイ・ラビットのおはなし」(石井桃子・中川李枝子訳 フェイス・ジェイクス絵 岩波少年文庫)

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