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みんなみすべくきたすべく

シュヴァル

 シュバル
 
かねてから、我が家(父親以外)の科学的知識や好奇心の源は。福音館の「たくさんのふしぎ」と「かがくのとも」という月刊誌だと断言できます。
 1年に12回も出版するのですから、月刊誌のすべての出来が上々とは言い難いものの、記憶に残る、何冊かもあり、子どもにわかりやすく、科学を紹介している点で、この月刊誌の存在は、もっと評価されていいはずです。難しいことをむずかしく言うより、難しいことを簡明に言うことは、どれだけ難しいか・・・

「シュヴァル――夢の宮殿をたてた郵便配達夫」(岡谷公二文 山根秀信絵 福音館 たくさんのふしぎ 2003年2月号) これもまた、月刊「たくさんのふしぎ」で出版された当時、面白い人が居るなぁという印象が強く残った本でした。
 郵便局員が一人で、自力で、独学で、彼の宮殿を、長い間かかって、作った実話。

 今度、それが映画になったというので、見に行きました。映画「シュヴァル理想宮ーーーある郵便配達員の夢」
(**この映画は、2019年12月に見に行き、昨日のコーンウォールの映画➡➡のように、慌てて書いていないので、もう上映していないかもしれない。ともかく、マイナーな感じの映画の上映期間は短い。)

 フランスの田舎の綺麗な風景の映画です。長い人生を撮るので、ちょっと、俳優さんに無理があるかなと思ったものの、昔、「たくさんのふしぎ」で出会った、変なおじさんという印象よりも、人生って、色々あるんだ・・・と、涙ぐんでしまいました。

 映画の中で、娘アリスのために、作ろうとした動機は、「たくさんのふしぎ」では大きく取り上げられていませんでしたから、シュヴァル自身の個性が制作の根本だと考え、偏屈で、かわった人が、作り上げたもの・・・と思っていました。

 確かに、映画はフィクションでもありますから、本当のところの動機は不明かもしれません。が、人づきあいが苦手で、自分の子どもとの関りさえも手探りだったというシュヴァルが、晩年では、人が変わったように、少しは、他人と会話のできる人になって行き、実際、俳優さんは、シュヴァルの瞳に輝きを増させていく演技していたのを見ると、溺愛した娘アリス、あるいは、小さい時に手放した息子など、シュヴァルを取り巻く人たちが、嘘のような素人制作に駆りだたせたのだと考えることはできます。

 ま、個人的な背景があるにせよ、33年もかかって、たった一人で、それも素人が凄いものを創った(長さ26メートル幅12~14m高さ8~10m)のは、事実。またそのあと、自分と奥さんと娘の入る墓廟を造り、その完成の年には、86歳になっていたシュヴァル。

 セメントと石灰と集めた石でできた彼の宮殿は、彼の死後(1924年)、朽ちるに任せていたものの、1969年文化担当大臣アンドレ・マルローによって、文化財の指定を受け、今も訪れる人は多いようです。

 それで、彼が一番初めにつまずいた石というのが不思議な形です。
 映画でも、たくさんのふしぎにも掲載されていますが(写真の右下に写る石)、貝殻状の渦巻きがいくつも重なっているようです。それは、岡谷公二(「郵便配達夫 シュヴァルの理想宮」作品社)によると、
≪この辺りは、地質が古く、形の面白い砂岩、凝灰岩、礫岩などに富み、化石も多く、地質学のアマチュアたちのメッカであった。その中の一人は、この近くの谷で、80種類以上の海産の貝殻を発見している。つまり、今は全くの陸地であり、山地といってもいいこのあたりが、かつては海だったのだ。≫

*「シュヴァル――夢の宮殿をたてた郵便配達夫」(岡谷公二文 山根秀信絵 福音館 たくさんのふしぎ 傑作集)
*「郵便配達夫 シュヴァルの理想宮」(岡谷公著 作品社)

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