FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

クライドルフの絵本

              200クライドルフ絵本j
クライドルフ展から続き)
(承前)
エルンスト・クライドルフの絵本で、現在日本で出版されているのが、5月に福音館から復刊された「ふゆのはなし」と「くさはらのこびと」(大塚勇三訳)、それに、新刊の「バッタさんのきせつ」(佐々木田鶴子訳 ほるぷ)です。他、詩画集のような「アルプスの花物語」「花を棲みかに」「妖精たち 小人たち」(矢川澄子訳 童話屋)「花のメルヘン」(佐々木田鶴子訳 ほるぷ)等も復刊してほしいなぁ・・・

真夏に 「ふゆのはなし」  (大塚勇三訳 福音館)
 クライドルフの繊細でユーモアに満ちた絵を知ってしまうと、その虜になる人が多いと思います。ところが、お話の視点から見ると、詩的な内容だとはいえ、お話が、盛りだくさんで、散漫になっているのは否めません。それから、原画はどれも、もう少し明るい感じがするのに、福音館から出版されたものは、ずいぶん落ち着いた色合いになって、「地味」な様子です。紙質の問題もあるかもしれません。特に1902年以前の「くさはらのこびと」の原画の紙質と、1931年にできた「バッタさんのきせつ」では、紙質がずいぶん異なっておりました。

 ただ、誤解のないように付け加えると、「地味」な絵本が、人気がないといっているのではなく、お話の構成が優れ、子どもたちにわかりやすいものであれば、表紙や中身の絵が、少々「地味」でも関係ないのです。例えば、エッツの「もりのなか」「またもりへ」(まさきるりこ訳 福音館)は、表紙の地味さに関係なく、子どもたちの大好きな絵本です。

 クライドルフは、表紙や見返し、タイトルデザイン、全体の色調等、トータルで絵本作りをしていたと思います。だから、復刊された「ふゆのはなし」の表紙より、もともとの原書の「ふゆのはなし」の表紙≪白雪姫と小人が雪合戦をしているところ≫のままで日本でも出版すればよかったのではないかと思うのです。「ふゆのはなし」と言うタイトルから受けるイメージも、暗い感じがするのですから、明るく楽しそうな、もともとの原書の表紙はぴったりです。ここでも、誤解があるといけませんが、復刊された表紙の絵は、お話の中で使われ、以下の文章があることによって、その絵は、美しさを増します。
≪ほんのりかがやく沙の衣装をきて、頭にはダイヤモンドのかんむりをかぶり、白雪姫は青い氷の上をすべっています。氷の精たちにとりかこまれながら、白雪姫は、きれいなカーブを氷にえがいて、こんどは近く、こんどは遠く、こんどは円天井の下をすべりぬけ、それからまた、ひらけた氷の上にあらわれて、すべります。空には星のきらめく、うつくしい夜で、金色にかがやく三日月が、夜をいっそうあかるくしています。≫

 さて、絵本「ふゆのはなし」の内容をちょっと・・・
かの白雪姫が、7年ごとに7人の小人を訪ねてくることに気付いた,「いとこ」の3人の小人たちが、雪深い中、訪ねて行く話です。で、10人の小人たちと白雪姫は楽しい時を過ごします。・・・え?白雪姫を助けた王子さまはどうしたか?って?・・・はい、はい、ちゃんと書いてありますよ。

☆写真は、一番上に置いてある黒地が、「アルプスの花物語」(矢川澄子訳 童話屋)。右、バッタの絵が見えるのが「フィッツェブッツェ」(パウラ・デーメル、リヒャルト・デーメル文 若林ひとみ訳 ほるぷ出版)。その右上、緑の小人が見えるのが「くさはらのこびと」。一番下に敷かれているのが、「花のメルヘン」(矢川澄子訳 ほるぷ出版)。それで、中央絵本の表紙が「ふゆのはなし」の原書表紙(「クライドルフ展カタログ」)

追記:一番下に敷かれている「花のメルヘン」の見返しの絵を初めとして、他クライドルフの絵本には、日本の浮世絵や「KATAGAMI」の影響が見られます。

PageTop