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シェイクスピア物語

ダリア5
(➡➡承前)
  ここもまた、二か月以上前に書いた、「シェイクスピア物語」(チャールズ・ラム メアリ・ラム 矢川澄子訳 アーサー・ラッカム絵 岩波少年文庫)の続きです。

 チャールズ・ラムと姉のメアリが、子ども向けに書いたのが、「シェイクスピア物語」です。[***もう1冊,子供向きに書かれた「レスター先生の生徒たち」(牛原眞弓訳 未知谷)もあります。この本については、後日書きます。]

 精神を病み、自分の母親を殺めてしまった姉のメアリを、一生、そばで面倒を見るのが、弟のチャールズ・ラムですが、当初、メアリの仕事だったこの「シェイクピア物語」を、彼女が苦労しているのを見て、喜劇をメアリ、悲劇はチャールズが担当し、作品20篇のものにしたようです。かの映画「ガーンジー島の読書会の秘密」➡➡でも、ドージーが、手にしているのは、確かにラッカムの表紙のシェイクスピア物語で、結構、分厚い本でした。

 しかしながら、岩波少年文庫には、全篇入っているわけでなく、(矢川澄子訳は、11篇、野上弥生子訳は13篇)内容も、ラム姉弟のものより、さらに手を加えたシェイクスピア作品となっています。二人の訳者自らが、後書きでこう書いていますから。
 「もとのものを平易にすることに努め、ダイジェストとしてお読みください」(野上弥生子)「あまりにも複雑錯綜する筋立てや余分な形容詞など、わざと省略させてもらったところもないではありません」(矢川澄子)。もとから、ダイジェスト版とは言え、原典シェイクスピア作品の味わいをそのまま受け継いだと言われる、ラム姉弟の散文からも距離があるようです。

 ところが、実際のチャールズ・ラムたちの残した原文の「シェイクスピア物語」は、福原麟太郎「チャールズ・ラム伝」(講談社文芸文庫)によると、シェイクスピアの≪原作の心持をよくとらえて荒筋を物語り、その上、原作の表現をも巧みに織り込んだこととされている。≫と、あります。
 そして、福原麟太郎はチャールズ・ラムの原文とシェイクスピアの原文を少しではありますが、並べ比較、検証しています。
 素人には、ふーん、そうなのか・・・と言う程度の理解ですが、先の少年文庫の訳が、シェイクスピアの原文から少々距離があることを考えると、ちょっと残念な気がします。(続く)

☆写真は、スイス モルジュのダリア

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