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みんなみすべくきたすべく

山というものを見なくても問題ではない

牛
(承前)
 「チャールズ・ラム伝」(福原麟太郎 講談社文芸文庫)によると、チャールズ・ラムは、ホガースを高く評価し、その「ホガースの天才と性格について」という論文では、プサンやレノルヅ、ラファエロなどと比較もし、ホガースの絵に喜劇的なものと悲劇的なものの混合があるのは不可とする批評を排し、ホガースの絵が即興的な一時的な興味に生れたものでもなく、恒久的な思想の表現だと論じているようです。
 また、ホガースを卑俗とする意見に反論し、ホガースの風刺に善意があったこと、物のあわれを介したことなどを付け加えて評論を終わらせているようです。

 福原麟太郎は「チャールズ・ラム伝」で、こんなことも付け加えています。ラムがホガースを愛せしめた動機と思われるのは、ホガースが都会人であったということで、町っ子のラムはたしかにかれにひかれていたのに相違ない。

 そうなのです。チャールズ・ラムは、ロンドンの中心、テンプル生まれ。

 「エリア随筆抄」の中の「懐かしのマーゲイト」の解説によると
≪ラムは散歩好きであったけれど、旅行はたいして好きではなかったらしい。彼は、ワーズワースに「生涯、山というものを見なくっても、たいして問題ではありません」と書いてる。…(中略)・・・テムズの流れのほとりに生れたラムは、純粋のロンドン児といってもよかった。彼は心からロンドンを愛した。美しい山の景色よりも、美しい海の眺めよりも、ラムには、ロンドンの町の道行く人や車の姿、店屋の灯、舗道に流れる太陽の光の方が、はるかにありがたかったのである。≫

 ・・・そうなんだ。山というものを見なくても問題ではないのか・・・
 カ・リ・リ・ロ個人は、今や、イギリスびいきとスイスびいきという欲張りですから、やっぱり、山は登らずとも、見なきゃと思っていますがね。

☆写真は、スイス クライデネシャイデックの牛さん 

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