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みんなみすべくきたすべく

肖像画

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(承前)
 まさか、ジェフリー・アーチャーの短編の中でも、特に短い「オーヴェル・シュル・オワーズの風景」➡➡が、ドラクロワの「獄中のタッソ」につながるとは思っていませんでしたが、ゴッホは、弟に宛てた手紙の中で何度もドラクロアについて言及します。

 そして、耳を切る前日、ゴーギャンと二人して、モンペリエのファーブル美術館に行き、ドラクロアの描いたアルフレッド・ブリュイヤ*などを見るのですが、その三ヵ月以上前の弟宛ての手紙には、肖像画について、こんなことを書いています。
 (*ブリュイヤは富豪の美術収集家で、モンペリエの美術館には、その名を冠した部屋があります。クールベの描いた「出会い、こんにちは クールベさん!」の絵の中央の人物が、そうです。)

≪僕は絵の中で音楽のように何か人を慰めるものを語りたい。僕は男や女で何か永遠なものを描きたい。永遠なるもの――昔は後光がその象徴であったのだが、われわれは輝きそのものによって、われわれの色彩の振動によってこれを求めるのだ。…(中略)・・・『獄中のタッソ』やその他の多くの絵でユジューヌ・ドラクロアが、真の人間を表現しようとして、求めかつ見出したものに近いのだ。ああ、肖像、思想を持ちモデルの魂を把握した肖像、こういうものが現れるべきだと僕は思う。≫

  そして、耳を切る前の手紙にゴッホはこう書きます。
≪ゴーガンと僕は昨日、モンペリエの美術館を見に出かけた、特にブリュイヤの部屋を見に行ってきた。そこには、ドラクロア、リカール、クールベ、・・・(略)、その他の画家が描いた肖像画がたくさんあった。それからまたドラクロア、クールべ、ジョット・・・(略)などの実に美しい絵があった。まったくブリュイヤは芸術家たちの恩人だね、君にはただそれだけを伝えたい。ドラクロアの肖像だと、ひげのある赤毛の髪をした人で、君や僕におそろしく似ていて、僕にはミュッセの次の詩を思い出させた。・・・「どこでも私府が土にさわると、黒い服を着た不幸な人が、そばに来て腰をおろし、まるで兄弟のようにじっと私を見つめるのだった」・・・君にもきっと同じような印象を与えると思うよ。お願いだから、昔と現代の芸術家の石版画を売っている例の書店へ行って、ドラクロアの「獄中のタッソ」の石版画がひどい高い値段でなしに手に入るかどうか、調べてくれないか、僕にはそのタッソの顔が、ブリュイヤのすばらしい肖像と関係があるようにおもえるのだ。≫

 で、この後、ゴッホは、耳を切り、精神病院に入り、そのあと、オーヴェル・シュル・オワーズ村に行き、ガシェ博士の肖像画➡➡を描くのです。

・・・・で、上の写真のドラクロアの「獄中のタッソ」は、スイスの ヴィンタートゥールのオスカー・ラインハルト・コレクション「アム・レマーホルツ」➡➡にありますが、今回使った写真は、画像を引き延ばしたので、不鮮明かと思います。
 ただ、この絵は、見たことを覚えていたのですが、ああ、明日、登場する絵は、せっかく、バ―ゼル美術館まで行っているのに、記憶がなく、不覚にして、なさけない・・・(続く)
**「ゴッホの手紙 下 テオドル宛」(J.v.ゴッホ・ボンゲル編 硲伊之助訳 岩波文庫)➡➡

☆下の肖像画は、スイス バーゼル美術館のゴッホ「ガシェ嬢の肖像」。昨日のガシェ博士の娘さん。

     ゴッホj

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