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15のわけあり小説

     テートj
(承前) ジェフリー・アーチャーの「15のわけあり小説」( 戸田裕之訳 新潮文庫)も、結論から言うと、面白かったけど、カ・リ・リ・ロにとって、心に残るような佳品が少なく・・・・そりゃ、そうです。「わけ」があるということは、素直な道筋とは違うということですから。狡猾な技は、そのとき、そのときは、感心するのですが、心に残らないものも多いのだと、思いました。ただ、、一気に読めてしまう短篇集なので、ファンも多いのは、わかります。

 そんな中、一つ、気になった短篇が、「外交手腕のない外交官」です。
 主人公のパーシヴァル・アーサー・クラレンス・フォースダイクは、大英帝国に決して陽が没しないことを証明する役割を果たしてきた家系に生まれ、生まれた瞬間にケンブリッジのトリニティカレッジという道を進むことが決められ、卒業後は、傑出した祖先にならって外務省入り…が、彼の学問的優秀さは認められるものの、常識に欠け、社会性に乏しく、外交的緻密さに欠けると結論付けられ、出世街道から外れていきます。
 外務省をくびにはならないものの、文書保管事務官という,地下の狭いオフィスでの仕事に・・・そして、その30年に及ぶ地下での仕事は、退職送別会で外務大臣に「彼は、大英帝国がこれまで結んだどの協定も条約もほとんど暗唱できる、比類ない百科事典のような記憶力を持つ男だ」と、賛辞されます。が、しかし、祖父は貴族、父は上級勲爵士なのに、自分はただの下級文官で終わったことの修正をはかる計画を立て、それを実行・・・・そして。。。。。
 
 ネタバレになるので、これ以上詳しく書けませんが、その計画というのが、彼の能力をいかんなく発揮させた上、外交という大きな世界事情を垣間見ることができ、最後は、ふーん、そこ?という終わり方でした。

 まったく、個人的ではありますが、彼の自宅がロンドン プリムコであることや、タクシーでユーストン駅に向かうなどと言う文言には、反応してしまいます。
 プリムコは、かのラファエル前派の絵をたくさん所蔵しているテムズ川に面した ロンドン テート・ブリテンの最寄り駅で、美術館に近づくにつれ、閑静な大きな住宅が並ぶ地域になる・・・ことを思い出します。
 また、初めて友人たちとイギリスに行ったとき、地下鉄に乗らず、タクシーで、マーブルアーチからユーストン駅に行ったものの、その後、地下鉄でも簡単に行けることがわかり、それ以来、タクシーはロンドンでほとんど使ったことがない、ということを思い出すのです。

 で、もう一つ、この話で気になったのが、彼の飼っている猫のホレイショーのことです。
 パーシヴァル・アーサー・クラレンス・フォースダイクの飼い猫ホレイショーは、どんな猫かというと、
≪彼がプリムコの自宅へ戻ると、三週間、ホレイショ― ―――三本足で片眼の猫―――だけを仲間として書斎にこもって、詳細な覚書を書き上げた。≫
≪(3か月たって)プリムコへ帰って最初にしたことは、猫に餌をやることだった。≫

 ホレイショーという名前が気になったのは、ジェフリー・アーチャーが他の短編でもシェイクスピアを扱い、ホレイショーというのが、ハムレットの友人の名前だから・・・そして、それから、現代では、「ねこのホレイショ」という絵本があるからです。(続く)

☆写真は、2017年プリムコから歩いて行ったテート・ブリテン案内。➡➡ 

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