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ねこのミランダ

ねこ11j
「ゆうかんな猫のミランダ」(エレナー・エステス作 エドワード・アーディゾーニ絵 津森優子訳 岩波)

 このアーディゾーニの挿絵のついた子どもの本の作者は、「百まいのドレス」「(石井桃子訳 ルイス・スロボドキン絵 岩波)や「モファットきょうだい物語」(全3冊 渡辺茂男訳 松野正子訳 スロボドキン絵 エスティス絵 岩波少年文庫)の作者です。
 
 「ゆうかんな猫のミランダ」は、肝っ玉お母さん猫ミランダの話です。時も場所も、古代ローマ。コロッセウムや広場が舞台です。
 歴史に興味がなくても、この大きくて勇敢で、しかも、妊娠しているお母さん猫の頑張りには目を見張ります。
 最後には、数十匹の猫たちのトップとなり、勇敢なという冠ではなく、猫の女王「コロッセオの女王ミランダ」という位置づけに。
 路頭に迷う子猫を助け、それも、自分の子プンカを含めて34匹(あとから、さらに、自分が産んだ4匹も加わり)、他にも、途中から加わった大人の猫など・・・ともかく、親分肌のミランダに、猫たちが集まった結果です。

 子ネコたちのミルク不足を補うために、コロッセウムの中に閉じ込められたライオン(しかも、乳の出るメスライオン)と、取引するところは、「勇敢すぎる猫ミランダ」に改題してもいいくらい。

 そんな肝の座ったのミランダも、子猫たちに子守唄を歌い、生まれたばかりの子どもたちに寄り添って、のどをならし、子どもたちは、それに、ごろごろと応え、≪まるで、浜辺にうちよせるさざなみのように、子猫たちはのどをならしました。≫
 この優しい空気とローマの混乱と、最後の章でのミランダのソロと、猫たちの合唱、猫たちのオペラ・・・子どものための本ながら、壮大な歴史を伝えようとする作者の意気を感じます。もちろん、そこに生きる小さなものたちの生き方も。

 残念ながら、ローマに行った事はありませんが、今も、猫の多い街(と、言われている)ローマの遺跡トッレ・アルジェンティーナ広場などには、野良猫・捨て猫保護センターというのがあるようです。

エピローグにあります。
≪いつかあなたが、アッピア街道かどこかの道からローマを訪ね、コロッセオをおとずれることがあったらーそれも夜に、できれば馬車で石畳の道をぱっかぱっかと走ってたずねることがあったならーコロッセオから歌がきこえてくるかもしれません。その歌は、そこにいる猫たちの王国のなりたちを伝えるものです。あの壮大なオペラが、夜ごとさまざまにつけたされたり、ねりなおされたりしながら、テーマはそのままに、奇跡のようにすばらしい女王、コロッセオの女王ミランダをたたえているのです。もう何世代にもわたって伝えられてきた歌ですから、あなたもコロッセオで、きっとその歌を耳にすることでしょう。できることなら、ここぞというところで、「イオ、イオ!ブラボー!」といってごらんなさい。≫
 

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