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スタンド・バイ・ミー

線路j
 (承前)
 続いて、「スタンド・バイ・ミー」(スティーヴン・キング 山田順子訳 新潮文庫)を読んでみました。
 ずいぶん昔ながら、映画は観たことがあるし、ジョン・レノンの歌う「スタンド・バイ・ミー」の入ったCDは、何度も聴いて楽しんでいました。

 が、訳者が解説でいうところの≪モダン・ホラーの旗手≫、≪ベストセラーのホラー作家≫としてのスティーヴン・キングの作品は、まったく手を出したことのない世界です。
 実際、この、「スタンド・バイ・ミー」にしても副題は「恐怖の四季 秋冬編」とあります。(ちなみに、春夏編は「ゴールデン・ボーイ」というタイトルで、同じく新潮文庫です。)

 読み進むと、「夏の庭」(湯本香樹実 新潮文庫)とよく似た設定が目につきます。「貧乏ゆすり」をする男の子は、どちらにも出てきます。極度に弱い視力で分厚い眼鏡という設定も同じ。おっとりした子の設定も似ている。また、話を語る主人公は、いずれ、物書きになるというのも同じです。もちろん、死体を見たい・・・という設定も、大枠では同じ。どちらも、大人になる成長物語。

 両作品とも、同じような年齢設定ながら、 片や、やがて13歳になる早熟なアメリカンボーイズ・・・つまりティーンエイジャー。集まる場所の樹上の小屋にはヌード写真が貼っています。片や、中学受験というハードルが待っている日本の小学6年生、12歳。日本の6年生男子の実態は、まだまだ幼く、アメリカの同じような少年たちとのギャップがあって、同じようなテーマで描くこと自体、少々無理があるような気がしますが、どうでしょう?
 また、病んだ大人たちが、身近に居て、子どもたちに影響を与えている・・・となれば、過激なアメリカ社会を背景に書くと、動機としてわかりやすい。心理的葛藤を描くのであればその背景の深みは大切なものです。例えば、「夏の庭」では、アルコールに依存する母親が出てきますが、最後まで、その背景はよくわからず終い。おじいさんの「死」も唐突なような気がします。
 そしてまた、「スタンド・バイ・ミー」は、完全なフィクションではない凄みがあります。
 
・・・と、もし、日本の児童文学「夏の庭」が、ホラー作家の描いた自伝的要素の強い「スタンド・バイ・ミー」にインスパイアされたのなら、それはそれなのかもしれません。(知らないだけで、作者の湯本香樹実氏は、どこかでそのこと話している?)
 後発の作品がそれまでのものに、感化、啓発、ひらめきの原点になることは、多々あるわけですから。
 スティーヴン・キングにしても、そうです。
 「スタンド・バイ・ミー」の入る「恐怖の四季ー秋冬編」のもう一つの話「マンハッタンの奇譚クラブ」。これは、イギリスのディケンズの「クリスマス・ストーリーズ」にインスパイアされたものだと読み取ることができるからです。(3連休ですが、続きます)
☆写真は、アメリカの鉄道ではなく、スイス 

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