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みんなみすべくきたすべく

寂しければ

かにかくに3
(承前)
 堀口大學が感じたほどではないにしても、確かに、吉井勇の歌には、凡人にも強い引力がありました。

 「寂しければ」という歌は、
 「寂しければ」で始まる歌が延々と続き、続編を加えると55首。すべて「寂しければ」で始まります。
 この繰り返し。繰り返すことによって、深く深く入り込む気分になって行きます。また繰り返すことによって、落ち着いてくる安心感もあります。言葉の魔力です。
 55首書き写すわけにはいきませんので、もっとお読みになりたい方は「吉井勇全歌集」(中公文庫)を。
≪寂しければ人にはあらぬ雲にさへしたしむ心しばし湧きたり≫
≪寂しければ火桶をかこみ目を閉ぢて盲法師のごともあり夜を≫
≪寂しければ或る夜はひとり思へらくむしろ母なる土にかへらむ≫
≪寂しければせめて昔のおもひでの華奢風流の夢をしぞ思ふ≫
≪寂しければ爐にあかあかと火を燃やしほのぼのとしてもの思ひ居り≫
≪寂しければ鳥獣虫魚みな寄り來かのありがたき涅槃図のこと≫
≪寂しければ・・・・・・・・・・・・・・≫

その中でも、ちょっといいなと思うのが、
≪寂しければ昨日をおもひ今日をおもひ明日をおもひぬうつらうつらに≫
(続く)

☆写真は、京都 祇園白川 

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