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傑作の持つ偉大さ

カフェj
「ゴッホの手紙 上中下」 (硲伊之助訳 岩波文庫)
 (承前)
ゴッホは、ドーデ―の「タルタランシリーズ」だけでなく、ドーデ―の「アカデミー会員」という作品も読んでいて、気に入った言葉を見つけてはいますが、やっぱり「タルタラン」の方がずっと好きだと言い切ります。
≪「アカデミー会員」は「タルタラン」ほど色彩的ではないような気がする。そこにはこまかい正確な観察があんまり多いので、無味乾燥で冷たいジャン・ベランのいやな絵を連想させるのだ。そこへいくと「タルタラン」には「カンディード」とおなじように傑作の持つ偉大さがあり、真に偉大なのだ。≫

 と、タルタランを絶賛しているのは理解できるものの、上記の手紙内容で、個人的に、「アカデミー会員」は読んだことがなく、(もしかしたら、未邦訳?)、ジャン・ベランという画家は、よく判らず、「カンディード」(ヴォルテール 植田祐次訳 岩波文庫)は、未読。うーん、わかっているのは「タルタラン」だけじゃないか・・・・

 で、「夜のカフェ」(上記写真)を弟に、手紙で紹介するときにも、「タルタラン」なのです。
≪僕は「夜のカフェ」の絵で、カフェと人が身を滅ぼし、狂人になり、罪悪を犯すような場所だということを表現しようとした。要するに僕は、やわらかいバラ色に鮮血のような赤と酒糟色や、ルイ15世時代のやわらかい緑やヴェロネーズ緑などに、黄緑とかたい青緑とを対照させて、地獄の坩堝と青白い燐光の雰囲気の中に、居酒屋の暗い機能を表現しようとしてみたのだ。しかもこれを 日本的な陽気さとタルタランのばか正直さという形に包んでね。≫(続く)

*「陽気なタルタラン」(ドーデ―作 小川泰一訳 岩波文庫) 
*「アルプスのタルタラン」(ドーデ―作 畠中敏郎訳 岩波文庫)
*「タラスコンみなと」(ドーデ―作 畠中敏郎訳 岩波文庫)

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