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タルタランの小説を読み通したことがあるのかい?

サンレミ18
「ゴッホの手紙 上中下」(硲伊之助訳 岩波文庫)
(承前)
 ゴッホの耳を切る事件があったのは、1888年12月23日の夜です。そのあと、1月1日2日と短い手紙を書き、17日になって、長い手紙を弟テオに書いています。
 その中で、アルルを後にしたゴーギャンに何度も触れています。
≪ところでゴーガンは・・・・なんでも自分のしたい事をすればいいし、独立独歩でやればいい?(独立の言葉の性格をいったいどんな風に彼は考えているんだろう)自分の考えが、われわれよりも経験を積んでいるものと思い込んでいるなら、勝手に行動したらいいさ。ここへ残して行った習作と引きかえに、僕の「ひまわり」を要求したのにはあきれた。彼の習作は贈物としてここへ置いて行ったのではないか、その習作を送り返してやろう。僕がもらっても何の役にもたたないが、きっと彼にはまだ必要なのだろう・。・・・・・(中略)・・・・いったい、僕のそばにいると邪魔だろうとゴーガンが気兼ねしたのだろうか、ほんのちょっとでもどんなに会いたがっているか、繰り返して行ったのを承知の上でそう言った事も、もちろん否定できないはずだ。・・・・・≫

と、書き続け、ここでも、タルタランです。
≪僕には彼の行為を、これ以上追求する気はない。でも或る一点に疑問を残しながら静かに引き下がろう。お互いに、彼と僕と、時にはフランス芸術や印象派について意見を交わしたこともあったが・・・・印象派が創設されて落ちつくかどうか、とてもむずかしいようで、不可能に近い気がする。英国でラファエル前派が成功しなかったときと同じではないか。団体が解散してしまったのさ。あるいは僕がこうした事件にあまりに心を痛め、悲観し過ぎるのかもしれない。ゴーガンは「アルプスの山上のタルタラン」**を読んだことがあろうか、そしてこのタラスコンの有名な友であるタルタランを思い出せるかしら、それはすばらしいは想像力の持主だったのので、彼は立ちどころに架空のスイスを想像で描いたではないか?崖から墜落してから、アルプス山上で発見した綱の結び目を彼はおぼえているだろうか?君はそれがどんな風なものか知りたいだろうが、いったい君はタルタランの小説を読み通したことがあるのかい?これでゴーガンがどんな人物かちょっと分かるだろう。これはまじめな話だが、ドオデの本からこの抜粋をもう一度読んでもらいたい。君が当地に来たとき「獅子狩りのタルタラン」***にあるタラスコンの乗合馬車の習作があったのに気がついたか。≫)(続く)

***「陽気なタルタラン」(ドーデ―作 小川泰一訳 岩波文庫) 
**「アルプスのタルタラン」(ドーデ―作 畠中敏郎訳 岩波文庫)
*「タラスコンみなと」(ドーデ―作 畠中敏郎訳 岩波文庫)

☆写真は、ゴッホの入院にした病院の中庭。スイス オスカーラインハルト美術館
下の写真は、約15年ほど前の 上記病院中庭 (撮影&T1:ただしデータの写真ではなく現像した写真)

ゴッホ病院30

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