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子どもの本でちょっとお散歩(川 その2)

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14柳緑j

  「たのしい川べ」  
                                                             (ケネス・グレーアム作 石井桃子訳 アーネスト・シェパード絵 岩波書店)
 「たのしい川べ」の原題は、「柳に吹く風」(the Wind in the Willows)です。題名に「川」が、あるわけではありませんが、「たのしい川べ」という石井桃子訳は、日本人には、原題より、なじみやすいと思います。

 やっぱり、春のお天気のいい日は、この「たのしい川べ」の第1章。
「生きるよろこびと、大そうじ抜きの春を味わううれしさに、モグラは、四つ足をいちどきに空中にはねあげながら・・・」
 子どもは、嬉しいとき、スキップしたり、小走りしたり、にこにこしたり、ともかく、身体から、喜びがにじみ出て、時に意味不明の行動をとります。私自身が、スキップしなくなって、何年経つでしょう?喜びも嬉しさも、その年齢なりに感じておりますが、全身で、喜びを表していたあの頃が、やはり懐かしい。それでも、花の香り、小鳥のさえずり、空の青さ、コートを脱いだ解放感・・・春が来るのは、嬉しいものです。今年のような、いつまでも肌寒い年は、なおのこと。
 
「川はおいかけたり、くすくす笑ったり、ゴブリ、音をたてて、なにかをつかむかとおもえば、声高く笑ってそれを手ばなし、またすぐほかのあそび相手にとびかかっていったりしました。すると、相手のほうでも、川の手をすりぬけてにげだしておきながら、またまたつかまったりするのです。川全体が、動いて、ふるえて―――きらめき、光り、かがやき、ざわめき、うずまき、ささやき、あわだっていました。」
 生まれてからまだ一度も川を見たことがなかったモグラの眼を借りて、今まで、作者グレーアムが、ずっと、じっと見続けてきた川を、こんなに生き生きと表現しました。また、物語全体に目を転じても、川の流れや動きのような構成で展開していると思います。ゆっくり流れたり、あちこち迷ったり、大騒ぎがあったり、静まったり・・・

 それにしても柳の芽吹きは、日本でも、英国でも、一気です。上の写真の中央向こう岸に芽吹いていない柳が写っていますが、下の写真左方では、初々しい若緑が写っています。この2枚は、5月上旬、テムズ川沿いマーローでたった2日の間に撮ったものです。ここから、グレーアムの住んだクッカム・ディーンは、近くです。なお、「古本 海ねこ」さんのクリスマス・アドベント・エッセイ(12月14日)にも「たのしい川べ」のことを書いています。

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