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プチ・ショーズ

バーゼル駅前j
「プチ・ショーズ --ある少年の物語」(ドーデ作 原千代海訳 岩波文庫)
 昨秋、ドーデーを続けて読んでいた頃、「プチ・ショーズ」も読みました。自伝ともいえる第一部と、脚色された小説の第二部からなっています。

 主人公の「チビ公」と呼ばれるダニエルは、背丈だけでなく、心もなかなか大人になれませんが、少年から青年へと成長する話です。
 
 第一部の少年時代は、一家の再興という大きな夢と希望に向かって進む「チビ公」なので、おもわず「がんばれ」と言いたい。また、小学校教員だったカ・リ・リ・ロには、生徒監督となった年端も行かないチビ公が、やんちゃな子どもたちを前に四苦八苦している様子が手に取るようにわかりました。
 そして、「チビ公」は、本を読み、詩作をするものの、第二部では、どんどんそこから離れて浮世の波に流されていく姿、くわえて、大人同士でも、陰湿ないじめやからかいがあることを、ドーデ―は克明に描いていきます。ただ、第二部になって、なんだか、だらしない大人に近づいていくところは、第一部で、ドーデーのオリジナリティと熱気が溢れてたものから遠ざかり、当時のパリ文学界の趨勢だった作家たちの作品や風潮を意識したもののようにも思えます。なので、個人的には、ちょっと背伸びした構成の第二部より、第一部の方が楽しめました。

 とはいえ、ドーデ―の作品を次々読んでみると、なぜ、ドーデ―が19世紀フランス文学の中で、あまり、重要視されていないのか、よくわからなくなりました。どれも、面白いのに・・・
 フランス文学史を学んだわけではありませんが、ドーデ―が、パリで活躍せず、田舎中心の作品だったからなのか?はたまた、パリの文学界とは距離を置いていたのか?パリのどろどろした人間模様と関係ある?などなど、興味のあるところです。(続く)
☆写真は、スイス バーゼル 駅前緑地

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