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バラゲール僧正の物語

台所j
 (承前)
「風車小屋だより」(ドーデ―作 桜田佐訳 岩波文庫)
 ドーデ―のユーモアと自然描写が魅力の短編が入っている「風車小屋だより」ですが、
 一番可笑しかったのが、「三つの読唱ミサーークリスマスの話」
 クリスマスのミサのあとの、ごちそうの話を聞いた僧正。
 その日、悪魔が僧正をうまく誘惑し、恐ろしい「どん食」の罪を犯させるかのように、話は進みます。
≪僧正は城じゅうの小さな聖器室で式服を着終った。そしてこのうまそうな有様を聞かされてすっかり心が乱れ、着物を着替えながら繰り返しこうつぶやいた。七面鳥の丸焼き・・・・金色のこい・・・・・こんなに大きなあゆ!・・・・≫

≪急ごう、急ごう・・・早く終われば終わるほど早く食事にありつける、と言っているように聞こえるあのやかましい小鈴ではないか。とにかく、この悪魔の鈴が鳴るたびに、僧正はミサを忘れてレヴェイヨンの事ばかり考える。ざわめく料理人、火の真赤におこっているかまど、ふたのすき間から立ちのぼる湯気、そしてこの湯気の中に、腹いっぱい松露を詰めて張り切った、二羽のすばらしい七面鳥・・・≫

≪三番目のミサが始まる。食堂に行くためには、もうあとわずか歩けばいいのだ。ところが残念!レヴェィヨンが近づくに従って、、不幸にも、バラゲール僧正はとても食べたくてがまんしきれなくなった。幻影はますますはっきりと現われて、金色に輝くこい、蒸焼の七面鳥が、それ、そこに・・・目の前に・・・ああ!・・・さらには湯気が立ち、ぶどう酒は薫る。そして、小さな鐘は、やたらに鈴を振って叫ぶ。ーー早く、早く、もっと早く!・・・しかしどうして、もっと早くできる事ができるか!くちびるを動かすばかり。はっきりした言葉は言われない…早くやるには神様をだましてミサをごまかすのでなければ・・・・・・・・ところが、それをしたのだ、この不届き者は!・・・誘惑の加わるにつれて、まず一節とばし、続いて、(後略) ≫(続く)
☆写真は、スイス グリュイエール城の厨房

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